別府市の鉄輪の民家を活用したインスタレーション「space II(スペースツー)」(別府市鶴見北中)の公開が12月23日に始まった。
混浴温泉世界実行委員会が主催するアートプロジェクト「ALTERNATIVE-STATE(オルタナティブ・ステート)」の第7弾。現代アートチーム「目[me]」が手がけた。
1969(昭和44)年に建てられた木造2階建て元民家の2階6畳2間部分を活用した。特殊素材を使い、岩をくりぬいた洞窟のように仕立て、北・南・西の3方の壁に穴を開けた。南側の穴が一番大きく、およそ縦2メートル・横5メートル。北側の外部階段から内部に入ることができ、外の湯煙や水路を流れる水音などを楽しむことができる。「世界に開いた穴」がコンセプト。制作期間は2カ月。
12月23日は、建物前でテープカットを行い、来場者に内部を公開した。 目[me]のアーティスト・荒神明香さんは「子どもの頃に思い描いた洞窟のイメージをそのまま落とし込んだ。大地との呼吸や外に出るという感覚を体感し、もう一度鉄輪を見るささやかなきっかけになれば」。ディレクターの南川憲二さんは「温泉が湧き、湯煙が立ち上る鉄輪の風景の一部になるような作品。ゆっくりリラックスして楽しんでほしい」と話す。
外部鑑賞は無料。内部公開は1月末から(要予約)。
目[me]は、荒神さん、南川さん、インストーラーの増井宏文さんを中心とするアートチーム。埼玉県を拠点に活動し、主にインスタレーションの作品を手がける。「さいたま国際芸術祭2023」ではディレクターを務めた。別府市では2016(平成28)年に「目 In Beppu」を発表している。
オルタナティブ・ステートは4年間で8作品を市内各所に設置するアートプロジェクトで、2022年10月にスタート。これまでにサルキスさん、マイケル・リンさん、トム・フルーインさん、栗林隆さん、中崎透さん、齋藤精一さんの6人が作品を発表している。