「#別府エール飯」のテークアウトで別府市民らから応援を受けた市内の飲食店3店が6月16日、別府大学(別府市北石垣)でランチ弁当を低価格で販売した。エールへの感謝の思いを形に変えた取り組みで、新型コロナウイルスへの不安を抱えながら通う学生たちに「おなかいっぱい食べて元気になって」と呼び掛けた。
同大学では6月から実習を伴う授業を再開したが、4月下旬に始めたオンライン授業との併用で、学内での講義は全体の約3割にとどまっている。学生の日常生活、アルバイト、課外活動などにもさまざまな影響が出ているという。
こうした中で事務局の大津留聡さんと広報室の石川万実さんが「ほっとできる食の時間を提供できれば」とランチイベントを企画。市内の飲食店に呼び掛けたところ、「SUNNY FOOD CAFE & MUSIC(サニーフードカフェ・アンド・ミュージック)」(鶴見、TEL 0977-76-5685)、「平壌苑(えん)」(駅前町1、TEL 0977-24-4130)、「より道」(秋葉町6、TEL 0977-22-5048)が取り組みに賛同して出店を決めた。
別府市は飲食店のテークアウト情報をSNSツールで共有する「#○○エール飯」の発信地で3店も何度となく助けられたという。今回は「恩返し」のスタンスで学生を応援しようと出店。それぞれタコライス、宮崎牛のビビンバ、ロースカツの「エール弁当」を300円で販売した。
その場で食べられるように、キャンパスの芝生の上にテントとテーブル席を設置。ソーシャルディスタンスに配慮し、席は間隔を空けて横並びにした。16日は「平壌苑」の梁原光洙さんと「より道」の釘宮道広さんが大学を訪れ11時30分から販売開始したところ、用意した40個はすぐに売り切れた。
ロースカツ弁当にはデザートの杏仁(あんにん)豆腐も付く。食物栄養科学部の女子学生は「いつもは弁当持参だが、きょうのランチはぜいたく」と笑顔。学生寮に住む男子学生はビビンバを購入し、「昼食は毎日自炊。こんなにおいしい肉が食べられるなんて」と夢中で頬張った。
キャンパスに広がる笑顔を受け、大津留さんは「学生と街がつながればという気持ちを込めて企画した。賛同してくれた3店に心から感謝したい」。梁原さんは「まだまだ飲食店も大変だが、今はアルバイトに入れない学生も多い。みんなで元気になれれば」と話した。
3店は7月上旬に再度、同大学で弁当販売を行うほか、別の場所での出店も計画している。店主はそれぞれ「感謝の気持ちを込めて、今後はもっと充実させた弁当を提供したい」と意気込んでいる。