スリランカ料理の専門店「カムカム」(別府市鶴見町9、TEL 0977-51-5725)が別府市の住宅街にオープンして2カ月がたった。30種類以上のスパイスを使った料理などを提供しており、カレーファンの間で「本場の味を楽しめる」と注目を集めている。
オーナーは同国出身のスチッタ・ダナセカラさん(38)。学生時代に出会ったという日本人との交流から「日本びいき」となり、2003(平成15)年に移住した。別府大学で国文学を学んだ後、2009(平成21)年に母国に日本語学校を設立。2017(平成29)年には別府市にスリランカからの留学生のサポートをする会社「ONEKI」を立ち上げるなどして、日本との懸け橋になる人材育成に取り組んできた。
店は「日本人に母国の料理を知ってもらいたい」「スリランカ人のよりどころとなる場所をつくりたい」との思いから4月19日にオープンした。店長は妻のティリニ・ニサンサラさん(30)で、スリランカの一流ホテルで13年間シェフとして働いたアリーカ・ニルミニさん(51)が調理を担当する。
スリランカカレーは、ココナツミルクとスパイスを多用しており、油分は少なめでさらりとした口当たりが特徴。島国ということもあり、日本と同様にかつお節でだしを取る料理も多い。「カレーとおかずをまぜて自分好みの味を作って食べてほしい」とティリニさん。辛さの調節もでき、複雑なスパイスの組み合わせで深く優しい味わいを楽しめるという。
同店では、スチッタさんの父がスリランカで営む農園で有機栽培したスパイスを使用。スチッタさんは「スリランカではスパイスは漢方と同様に考えられている。だからこそ良いものを取り入れたい」と話す。野菜も大分県内の農家の元を訪れ、自分の舌で確かめたものを直接仕入れている。
ランチメニューの定番は8種のおかずを味わえるカムカムカリーAセット(1,280円)、スリランカカリーセット(880円)など。ディナーでは小麦粉を薄く伸ばして焼いた生地を刻んだ「コットゥ」とカレーのセット(1,200円)、ひよこ豆のピリ辛炒め(300円)が人気という。
ドリンクはマンゴーラッシー、アボカドジュース(以上400円)ほか。アルコールはスリランカのビール「ライオンラガー」「ライオンスカウト」(以上650円)などをそろえている。
テーブル6卓で36席。2階はパーティーにも対応できる。店名は「食べよう、食べよう」の意味で「スリランカ料理を気軽に楽しんでほしい」との願いが込められている。
新型コロナウイルスへの対応でランチのテークアウトがメインという苦しいスタートだったが、6月5日からは念願のディナータイムの営業も始められるようになった。スチッタさんは「ようやく店でゆっくり料理を楽しんでもらえる状況になったので本当にうれしい。別府をはじめたくさんの人にスパイスたっぷりの料理を広めていきたい」と意気込んでいる。
営業時間はランチ=11時~14時30分、カフェタイム=14時30分~17時30分、ディナー=17時30分~21時30分。火曜定休。