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大分市のアクセサリー作家、被災体験が生んだ一筆書き「絆」デザインを作品に

線画デザインを描きためてきた森さん

線画デザインを描きためてきた森さん

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 大分市でファッション雑貨のセレクトショップを営む森美月さんは、阪神・淡路大震災(1995年1月17日)の被災体験から生まれた「つながり」を表す一筆書きのデザインを、二十数年にわたって描きためてきた。たまった思いを形にしようと今年の「その日」に合わせて線画を取り入れたアクセサリーを制作。「誰かの心に響けば」と店内に並べる。

線画デザインを使ったイヤリング

 森(本名・足立悦子)さんは兵庫県出身。20歳の時に宝塚市の自宅で被災した。家の近くに中国自動車道があったことから「最初は大型トラックが突っ込んできたと思った」と言う。「家が半壊したことで自宅付近が一番ひどい状態だと思っていたが、携帯テレビで火の手が上がる神戸の街を見てがく然とした。惨状を知れば知るほど怖くなった」と振り返る。

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 デザイン専門学校を卒業し、ものづくりの道に進むつもりでいたが、ライフラインの確保や知人の安否確認で気を使う日々が続き「しばらくの間は絵やデザインを描く気が起きなかった」。1年がたち身辺が落ち着いた頃、人とのつながりや絆を思い起こしながら無意識にペンを走らせところ、描き始めと描き終わりがつながったデザインができていたという。

 結婚を機に大分に移住。2008(平成20)年に「ミツキ・ライク・ア・チャーム」(大分市中央町3、TEL 097-538-1270)を開いた。新しい生活がスタートした後も、ことあるごとに線画を描き続けた。四角、丸、ハート、鍵にウサギ。「思い出したくないが忘れたくないという複雑な気持ちを形にし続けたかった」

 2019年に、一対で1つの線画デザインになるイヤリングを試作。背景の被災の説明を付けずに展示会に並べたところすぐに売れた。「つながりを感じていたいという思いから生まれた抽象的なデザイン。手にする人それぞれの悩みや思いを吸収しやすいのかも」と話す。

 デザインが受け入れられたことで「線画を作品に取り入れる気になった」。イヤリングのほか、ピアスやブローチといったアクセサリーにポストカードも作った。今年の1月17日を一つの区切りとし、店の一角に専用コーナーを設けて販売することにした。

 「これでようやく消化できそう」と森さん。「みんな、場所や時間を超えて多様な形で人とつながっていると思う。作品を手にそれぞれの絆に思いを寄せてもらえれば」と話す。

 営業時間は11時~19時30分。火曜・第3日曜定休。

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