大分県日田市出身の洋画家・宇治山哲平(1910~1986)の展覧会が現在、大分県立美術館OPAM(大分市寿町2、TEL 097-533-4500)3階の展示室Bで開かれている。画業を代表する丸、三角、四角で表した抽象的な油彩画を中心に、大分初公開の大作を含む68点を並べている。
同美術館開館5周年記念事業。「生誕110年 宇治山哲平にみる『やまとごころ』」のタイトルで開催している。
宇治山は1910(明治43)年、日田市豆田町生まれ。現日田高校卒業後、独学で版画制作を始め、風景や身近な生物を油彩画で表現するようになった。1960年代からは色と形の2要素で抽象的な世界を表現する「絵画シリーズ」を開拓。晩年には日本情緒の詰まった「やまとごころシリーズ」を結実させるなどして、日本近代絵画史に足跡を残した。
会場では「日田と版画創作期」「洋画家への転向」「地表、風紋から石の華まで」「絵画シリーズの誕生」「王朝」「華厳」「やまとごころ」の7章に分けて展開。時代ごとの作品を紹介している。
「絵画No.194(響)」(東京国立近代美術館収蔵)は横幅が6メートルを超える大作で、およそ40年ぶりの大分展示。華やかな十字型の作品「漲りて四方に」(広島市現代美術館収蔵)は「華厳シリーズ」の代表作で、大分初公開となっている。
同美術館では「宇治山の画風には絵の具を盛るように使い立体的に仕上げるという特徴もある。そういったところも見方の一つとして楽しんでもらえれば」としている。
11月14日・28日には学芸員によるギャラリートークがある。時間はいずれも14時30分から。参加無料。同展観覧券が必要。
開催時間は10時~19時(金曜・土曜は20時まで)。観覧料は一般=800円、大学生・高校生=500円、中学生以下無料。11月29日まで。