大分市の柿農家・飛田紘治さん(82)が6月17日、自身が作詞した「母のいない部屋」を曲にし、母の久子さん(101)に贈った。
飛田さんは津久見市出身。小学3年生の時に実母の妹の久子さんに引き取られる形で養子に入った。50代半ばまでサラリーマンとして働いていたが、和太鼓チーム結成を機に自身が芸能の分野に向いていることに気付き、個人で事務所を開設。女性演歌歌手を育て、九州から関東地方まで営業で回る日を約20年間、続けてきたが、女性歌手の病死を機に芸能生活から身を引いた。
久子さんは95歳から老人ホームを利用。歩行器を使いながら元気に生活している。飛田さんは「家は古くバリアフリー化できなかった。一緒に住めないのが悲しい」と話す。久子さんの100歳のお祝いに育ての母への思いを込めて詞を作り、今年に入り、節を付けて歌にすることにした。
曲とレコーディングは昔のつながりから静岡県焼津市の作曲家・鈴木勝海さんに依頼。4月に自らハンドルを握って静岡に向かった。当初は自身で歌う予定だったが、体調を崩していたこともあり、現地の女性歌手に頼むことにした。
施設で映像を撮影。歌を入れ込んだDVDが6月10日に完成。飛田さんは17日に施設を訪れ、久子さんと一緒に視聴した。
歌は「おふくろ元気かおふくろさんよ」と呼びかける形で始まり、3番まである。一緒に住んでいた家や久子さんのホーム生活などに触れ、「親子鳥」と締めくくっている。初めて歌を聴いた久子さんは目を細めて、「本当にうれしい」とにっこり。「なるべく早く覚えてホームのカラオケイベントで歌いたい」と喜んだ。
飛田さんは「歌いやすいように作った。今はもう二人っきりなので親子の絆をもっともっと強めていきたい。次は自分で歌った曲を贈れれば」と話す。