
町の絵師が描いた近代の大分市の風俗画を展示する「オオイタ・モダン」が現在、大分市歴史資料館(大分市国分、TEL 097-549-0880)で開かれている。
同館によると、作者の工藤長造さんは1903(明治36)年生まれ。大分市大手町で看板業を営んでいた。1950年代から自身の記憶を頼りに、明治・大正・昭和の大分市の風景や人々の暮らしなどを描くようになった。残された絵は全部で102枚。長造さんの次男で洋画家の工藤和男さんが2月4日付けで市に寄贈した。
絵は黒色ペンで描かれており、保存状態も良好。初公開となる同展では2章に分けて30点を展示している。
1章では住吉神社の夏祭り、高松・萩原・日岡の塩田、府内城でのレンコン掘りなど農村部の暮らしぶりを、2章では1911(明治44)年の大分市制開始を祝う仮装行列、トキハ近くにあった「カフェサンパウロ」で働くウエートレス、別府の砂湯とバスガールなど、西洋と日本の文化の融合が進んだ大分を紹介している。
併せて、1921(大正10)年に市販された写真付きの市街地図、ろう管蓄音器、電話機などの道具類も並べている。
同館の神田太一主事は「長造さんは趣味の域で描いていたというが、市民の表情や町の空気感を非常に丁寧に描写している。様変わりしていく大分市の近代が伝わってくる」と話す。
3月16日14時から展示解説がある。電話申し込みが必要で先着30人。要観覧料。
開館時間は9時~17時。観覧料は、一般=210円、高校生=100円、中学生以下無料。5月25日まで。休館日は同館サイトで確認できる。