暮らす・働く 学ぶ・知る

大分市の「志田原八十八ヶ所霊場」でお接待と勉強会 「存在知ってほしい」

一番札所大師堂で「おせったい」(志田原八十八ヶ所霊場で)

一番札所大師堂で「おせったい」(志田原八十八ヶ所霊場で)

  • 10

  •  

 大分市下判田の「志田原八十八ヶ所霊場」で3月23日、来訪者をもてなす「おせったい」と歴史勉強会が行われた。地域住民で作る志田原八十八ヶ所霊場を守る会が主催し、判田愛会などとの共催で初めて開いた。

札所には本尊と弘法大師像が並ぶ(志田原八十八ヶ所霊場)

[広告]

 守る会によると、霊場は、四国八十八ケ所を巡りご利益を得た村人の発願で、文化・文政時代(1804~1831年)ごろに同地区南部にあるお坪山に作られた。山の麓から中腹を通って一周するおよそ4キロの巡礼路に四国遍路と同様に88の札所があり、地域住民が約200年にわたって受け継ぎ、整備するなどして守ってきた。

 地域交流と巡礼者らをもてなす「おせったい」は2019年まで毎年3月と8月に実施してきたが、会員の高齢などで中断していた。今回は守る会の佐藤明美さんや玉井豊さんらが集まり、「霊場の存在を知ってほしい」と企画した。

 3月23日は一番札所大師堂で来訪者に茶やお菓子を振る舞ったほか、佐藤さんの庭で大南地区文化財同好会会長の西哲弘さんを招いた勉強会を開いた。

 地域住民や歴史ファンら約40人が参加。西さんは2年前に2カ月をかけて霊場の詳細を調査しており、「1つの札所に釈迦如来などの本尊と弘法大師像の2体が設置されているが、これは非常に珍しい。四国遍路のコンパクト版はあちこちにあるが、普通はどちらか一体」と志田原版の特徴を解説。仏像を作った石工や寄贈者、大野川を含んだ地域の利点などについても触れ、「身近で日帰りで巡礼できるとして多くの人が集まっていたと考えられる」と述べた。

 一番札所の横には和歌山、大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀、岐阜にまたがる西国三十三所巡礼の三十三観音も安置している。西さんは「1カ所で2度のご利益を得られる所も他にはない。後世に伝えるべきもの」と強調した。

 佐藤さんは「歴史好きな人や大分市民でも、志田原霊場を知らないという人はまだ多いと思う。いつ誰が来ても良いようにこの素晴らしい場所を守っていきたい」と話した。

 「志田原八十八ヶ所霊場」は誰でも巡礼できる。所要時間はゆっくり回って2時間。急勾配の場所や落ち葉などで足元が滑るところもあり、注意が必要。駐車スペースあり。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース