
「立命館アジア太平洋大学(APU)」(別府市)の学生チームが製作した、大分空港と大分市間で就航予定のホーバークラフト内で上映する別府観光PR映像2本が4月8日、関係者に公開された。
同大と産学連携協定を結ぶ、オリックス不動産(東京都港区)、杉乃井ホテル&リゾート(別府市)との協働事業。地域の問題解決を目指す学習プログラム「New Tourism Hub(ニュー・ツーリズム・ハブ)」の一環で、ホーバー運航が国内唯一であることから船内モニター用の映像製作を「新領域の課題」として取り上げた。
昨年8月に学生23人で始動した。4チームに分かれ、ホーバーターミナルや空港、別府駅などの現地調査を行い、キャンプやセミナーなどで観光産業を学習。11月のプレゼンテーションで2チームを選び、実装に向けて動画撮影、編集作業などを進めてきた。別府温泉杉乃井ホテル、日本航空、大分第一ホーバードライブ、JTBの社員がメンター役として参加し、学生たちの活動を支えた。
当日は同大で、「Ascend Hover」「あーとらくたーず」の2チームが関係者に向けて映像を披露。チームメンバーが「伝えたかったこと」「苦労した点」「活動を通して得たもの」などについて説明した。
「Ascend Hover」は、ビジネスマンのホーバー利用をイメージして製作。「別府出張~人、食、温泉で癒やされるひととき~」(3分26秒)のタイトルで、東京から出張で訪れた旅行雑誌編集者が、別府・鉄輪のさまざまな魅力に気づいていくストーリーに仕上げた。メンバーの中島拓泰さん(サステイナビリティ観光学部3年)は「主人公は仕事で訪れている設定なので単なる観光動画にならないように構築するのが難しかった」と振り返った。
「あーとらくたーず」は別府が持つ多様性に注目。一人暮らしをする学生、ホテルで働く外国人、車いすを使う障害者という3人の小さなつまずき、諦め、新たな一歩にスポットを当てた。タイトルは「Beppu for everyone ~あなたらしくいられる街~」(3分46秒)。石川陽宏さん(同)は「空港利用やホーバーの復活を楽しみにしている地元の人に見てほしい」と話した。
映像は船内の状況に左右されないよう、音声なしでも理解しやすい内容に仕上げた。完成した映像について「Ascend Hover」の原田真裕さん(アジア太平洋学部2年)は、「出来が良くて自分でもびっくりしている。動画制作やカメラ撮影のプロフェッショナルと関わり、社会人は本当にすごいと思った。これから先の就活には辛い、暗いというネガティブなイメージがあったが、一気に変わった」と話した。
映像は週末などに運航する別府周遊便で上映。「ORIX HOTELS & RESORTS」の公式ユーチューブチャンネルでも視聴できる。4月中に、大分空港、別府市役所ロビーなどでの上映も予定する。