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別府市のバー「ミルクホール」 カウンターで「もてなし」の心30年

30周年を迎えた「ミルクホール」

30周年を迎えた「ミルクホール」

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 別府市の「Bar & Living MILK HALL(ミルクホール)」(別府市秋葉町7、TEL 0977-22-0177)が2月11日、開業30周年を迎えた。

樋口さんのオリジナルカクテル「赤い月」

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 別府市生まれの樋口基(はじめ)さん(62)が営む同店。別府や大分における正統派バーの先駆けで、バーテンダー歴40年の樋口さんがつくり出す柔らかな店の雰囲気に引かれ全国から客が訪れるという。

 東京の学生時代に始めたアルバイトをきっかけに「酒場の世界」に引き込まれた樋口さん。「人と接することが好きだった」という資質がバーテンダーの職風とマッチし、渋谷で店舗を持つまでに腕を上げた。30歳を過ぎて帰郷し、1988年2月11日、同市元町に8席の店を開いた。気軽に来店してもらおうと「ミルクホール」と名付けた。

 樋口さんの空気を読んだトークや雰囲気づくりに加え、オリジナルカクテル「赤い月」が受け、人気店へと成長。「赤い月」(900円)は、ジンにカシスとレモン果汁を加えて作る正統派の一杯。見た目の美しさと苦み、甘み、酸味が程よく調和した味わいが受け、「数十年にわたってたしなんでくれる人もいる」という。

 1996年に現在の場所へ移転。93平方メートルの店舗にカウンター12席、テーブル席24席のほか、パーティールームも備えた。知人に教わりながら「飽きが来ない、居心地の良い」内装を目指し、床の板、壁のタイル、天井の高さ、そのほか照明や調度品に至るまで細部にわたってこだわった。

 店舗の拡大とともに客数も増えた。「30年はあっという間だった。楽しかった」と振り返り、「何よりも来てくれる人たちに、本当に恵まれた」と強調する。常連客のほか、年月の積み重ねとともに紹介や口コミの輪ができ、全国から客が来店するようになった。「常に期待を裏切れないという思いで、とにかく必死にもてなした」。客との信頼関係を次々とつくっていく中で、客同士が結婚したり、ビジネスパートナーになったりするケースも多いという。

 樋口さんは「もてなすときに奇をてらう必要はない」と言う。カウンターの内側に立ちながらも心は客に寄り添っている。「昔、先輩に『お客さんがうれしそうなときはその喜びを2倍に、悲しそうなときは半分にするのが仕事。お客さんと同体となれ』と教わった。無意識にやっていたのかもしれないが、この5、6年でようやく腹に落ちた」

 来客の平均年齢は高めだが、これからは客層の幅を学生を含めて若い世代へ広げていきたいという思いもある。「学生さんは自ら敷居を高くして、緊張して入ってくる。そこをほぐしながら酒の飲み方やマナーをそっと伝えられたら。酒場の空気感を読む力は社会人になったときに役立つと思う」と話しつつ、「学割もあるし」と笑う。

 この春には30周年記念パーティーも予定。自身が育てたバーテンダーや知人の料理人を招いて2日にわたってもてなす。日程は調整中で、「これを機会にぜひ、バーの空気を味わってほしい」と呼び掛ける。

 メニューは、生ビール(700円)、カクテル(900円~)、自家製レーズンバター(600円)、オイルサーディン、ミックスピザ(以上900円)など。

 営業時間は20時~翌2時。水曜定休。

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