JR大分駅府内中央口駅前広場で3月29日、「大分きゃんバス」の新デザイン車両完成発表会が開かれた。
大分市の委託を受けて大分バスと大分交通が運行する同バス。利用料金100円(小学生以下50円)で中心市街地を循環する。2015年6月から試験運行を開始、2017年10月から本格的に運行している。年間利用者は約6万1000人。
昨年秋の本格運行を機に「市民に愛され、存在感を感じ、乗っていて楽しい循環バス」をコンセプトとし、全面リニューアルに着手。スロープ付き中型車両2台とリフト付き小型車両1台を導入し、バリアフリー化されていない現行3台と入れ替えた。改造事業費は2,000万円。 全体デザインはJR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」、九州新幹線「つばめ」、特急「ソニック」、JR大分駅ビル「JRおおいたシティ」などを手掛けた工業デザイナーの水戸岡鋭治さんが担当した。
新車両の外装は白を基調とし、前後左右の各面に華やかな色使いでデザインした正方形を並べ、「OITA CANBUS」の文字を複数箇所に入れてアピールした。内装は、床を板張りにしてつり革の輪にも木を使い温かみを持たせた。シートやカーテンにはカラフルな草木模様やモザイク柄を使った。
11時から行われた発表会には佐藤樹一郎市長や水戸岡さんら関係者約50人が出席。佐藤市長は「ななつ星に乗りたいが時間がないという人は、きゃんバスに乗って水戸岡さんの魅力に触れてほしい」とあいさつ。水戸岡さんはデザインについて「利用者ファーストで考えた。ベースを真っ白にして、元気で楽しく美しい『走る公民館』をイメージした。バスに乗ることで町を見直してほしい」と述べ、テープカットを行った。
発表会後には一般にも開放され、親子連れらがバスの前で写真撮影をしたり、バスに乗り込んでシートやつり革の感触を確かめたりした。水戸岡さんのファンという大分市の浅野優一朗君(10)は水戸岡さんと記念撮影し「席がつばめのシートに似ていてうれしくなった。車内が明るくて楽しくなる」と笑顔で話した。
市都市交通対策課の担当者は「水戸岡さんのななつ星、ソニック、大分駅という流れにきゃんバスが加わった。今年は国民文化祭が、来年はラグビーワールドカップが大分で開かれる。国内外からの観光客へのおもてなしや移動の活性化につながれば」と期待する。
新車両は3月30日8時発の第1便から運行する。運行時刻は現行通り。