提供:株式会社日本M&Aセンター 制作:大分経済新聞
国内最大手のM&Aの仲介会社「日本M&Aセンター」は、新型コロナウイルスの影響で成長や存続の危機に直面している大分の企業をいち早くサポートする目的で、6月30日にサテライトオフィス(大分市府内町3、TEL 050-6865-3720)を開設した。「パートナー戦略」「無料戦略相談」を掲げて地場企業に寄り添う姿勢を固めた奥野秀夫中四国九州支社長兼福岡支店長に「M&A」の強みについて聞いた。
前年度まで大阪支社の管轄となっていた福岡支店を、今年の4月1日から九州内の会計事務所、金融機関などのネットワークを一元化する新拠点にしました。全国に新しいオフィスを拡充している最中で、九州でも大分、熊本、鹿児島といった主要な地域についてはサテライトオフィスを整えることになったのです。当初は2020年内の開設を考えていたのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえて計画を前倒ししました。
今回のコロナショックで世界の経済活動は大きく変わり、その影響は今後も続くと考えられます。中小・零細企業は、従来通りの経営戦略では成長や発展はもちろん、生き残ることも厳しくなってくるでしょう。
悩みを抱えている大分の経営者と話し合うにしても、感染拡大の恐れがある現状では東京や大阪、福岡から行き来して話し合うことはできません。オンラインを使った面談も可能ですが、それ以上に地元にオフィスを置き、人を配し、フェイストゥフェイスの形でより親身になって寄り添える環境を一刻も早く整えようという考えで進めました。
4月、5月と、緊急融資や赤字補填(ほてん)などの対応に追われる時期が過ぎ、緊急事態宣言も解除され一息ついたときにオフィスを開設することでメッセージ性を強めました。
福岡支店・福岡センタービル
現状を踏まえると今後は、上場はもちろん、自力での経営継続や事業承継も難しくなります。当社も平時であれば、後継者を見つけるために譲渡を推奨したり、さらなる成長を促すために資本提携を提案したりしていますが、「非常時」となった現在は緊急度合いを高めて臨んでいます。
苦境に耐え得る強い会社になるには「スピード感」が重要で、次の展開を共に考えて歩むM&Aのパートナーをいち早く見つけることが有効です。「後継者がいないから3年後に」という経営感では手遅れになる可能性が高いといえます。譲渡したり大手の傘下に入ったりする「パートナー戦略」という選択肢があることを経営者に伝えたいのです。
パートナーにしても、これまでは「飲食関連の企業には飲食業の企業を」といった具合に、同業者を紹介するケースが多かったのですが、現在は全く別分野の企業を紹介するケースが増えています。異業種同士で結び付くことでリスクも分散され、販売エリア拡大やルートの多様化などが期待でき、より足腰の強い企業になります。2008(平成20)年に起こったリーマンショック直後に異業種同士のM&Aに取り組んだ企業の多くはまさに今、勝ち組となっています。
苦しい今だからこそ「このようになったら、ああなれれば」という希望の「たられば」をもう一度考えてほしいですね。資金があれば実現できるというなら資金力のある相手と手を組む、不況に強い会社にしたいのであれば異業種と結びつく、という解決策が見えてきます。ホテルから介護会社に変わって成功したケースもあるように発想の転換も必要です。
「パートナー戦略の選択肢を伝えたい」と語る奥野支社長
今の若い人が立ち上げた会社では、長期計画の選択肢の一つにM&Aを入れているところも多いと思います。一方、30年、40年前の設立で現在も続いている会社のほとんどがM&Aを考えていません。後継者が見つからなかったり、苦境を迎えたりすると潔く自分で廃業してしまうケースが多いようです。
そうした経営者の多くは責任感が強く、従業員を路頭に迷わせないように転職の面倒も見ます。しかし、今はあっせん先自体も苦しい状況となっており、簡単に廃業することもできなくなっています。仕方なしに現状を変えずに「緊急融資を受けて我慢して1、2年待ってみよう」などと息継ぎしながら経営すると手遅れになってしまいます。
後継者がいないなどの理由で休廃業する会社は年間6万社あり、今後10年で120万社以上がなくなるとみられています。しかもこの数字は平時のもので、非常時以後となるこれからはどうなっていくのかは分かりません。
当社の直近の年間成約件数は885件で毎年、右肩上がりで伸びていますが、6万社と比べるとまだまだ少ない状態です。M&Aという手法を知らないまま倒産や休廃業せざるを得ない会社も多かったと思います。アドバイスがあれば続けられた、助けられた優秀企業はたくさんあったはずです。
10人の会社でも従業員の家族などを含めると、会社はおよそ30人を抱えていることになります。そう考えれば結構な大所帯といえます。会社のため、従業員のためを思って「どこかと手を組めないか」という考えが浮かんだら、すぐに判断すべきです。
M&Aは戦略の一つなので「M&Aありき」で考える必要はありませんが、日本の経営者はM&Aを選ぶことはまだまだ少ないですね。まずは自分の子どもや親族に譲る、それがだめなら社員、社員がだめなら廃業かM&Aか、という流れで考える人が大勢います。
しかし、子どもに譲るとしても、やはりパートナーは見つけてあげてほしいですね。経営者は第三者に譲る場合は相手のことをものすごく考えるのですが、身内に譲るときは意外と適当に済ませる傾向があります。個人で立ち上げて成長させた会社ですが、個人のものではないので同じぐらいの熱量で考えてあげることが必要です。
譲渡する場合でも従業員の継続雇用が可能です。社名や取引先とのつながりも残せるし、連帯保証の重荷もなくなります。事業を承継し、成長させるための手法を考えた場合、総合的にはM&Aが実は一番の選択肢だと考えています。
会社と経営者の重荷を解くM&A
十数年前のM&AやTOB(株式公開買付)を題材とした経済ドラマなどの影響で「M&A」に乗っ取りのイメージを描く人もまだいます。当社の社名にも「M&A」が入っているので、敷居やハードルが高いと捉えている経営者もいると思います。
当社では、各地で提携している会計事務所や金融機関を介して地域の企業とのつながりを増やしてきました。経営課題や戦略についての無料相談も行い、企業との距離を縮めています。大分でも同様の形で展開するのでメリットを説明しつつ「誤解」を解いていきたいと考えています。
無料戦略相談では「ウチの内情を知ってほしい」「どうすればいいのかアドバイスしてほしい」といった漠然とした悩みでも構いません。雑談なども交えていろいろな話をしながら一緒になって後継者問題や成長課題を考えていきます。何回でも無料なのでぜひ、利用してほしいですね。
雑談から本質まで-無料相談で経営者の悩みを共有
大分に相談の窓口ができたということで、提携している会計事務所からの紹介件数がぐんと増えました。「M&Aは怖い」という事業主や、「M&Aを詳しく知らない」という経営者などこれまでに接点のなかった方々とのつながりができました。大分にフェイストゥフェイスで話せる環境が新しくできたということでハードルが下がったとのだと思います。直接の問い合わせも増えています。
経営者は孤独なので一人でもんもんと悩んでいる人は絶対にいるはずです。そういった経営者のために大分オフィスを開設したようのものです。困っている企業を支援することで大分の経済界に貢献し、地方創生の一翼を担いたいですね。
開設1カ月を迎えた大分の新オフィス(中央:大分サテライトオフィス・リーダー 仲田理さん)
奥野秀夫
日本M&Aセンター執行役員・中四国九州支社長兼福岡支店長
愛知県知多市出身。筑波大学体育専門学群卒。1997年4月 住友銀行(現三井住友銀行)入社。2005年2月日本M&Aセンター入社。東京本社金融法人部、大阪支社コンサルタント戦略部長、大阪副支社長を経て現職。
大分サテライトオフィス
大分県大分市府内町3-4-20
TEL 050-6865-3720
大分恒和ビル4階(大分OpenOffice)
受付時間=9時~17時