移転建築が終了した大分県の新知事公舎(大分市荷揚町5)が4月24日、関係者に公開された。地震や津波に耐える堅固な造りと県産木材を多用した「和風モダン」のデザインが特徴。広瀬勝貞知事が近隣の現公舎から25日以降に移り住む。
1949(昭和24)年建築の木造平屋の現公舎(約3000平方メートル)は老朽化が著しく、地震や津波による被害の恐れがあったことから、危機管理体制の強化を目的に、近隣の荷揚町体育館跡の県有地に公舎を新築した。2018年7月着工、今年4月19日完工。敷地面積は約2600平方メートルで、鉄筋コンクリート造り一部木造の2階建て。公邸面積は323平方メートル、私邸面積は175平方メートルとなっている。建設費は3億3,400万円。
公邸部分は1階の応接室、小会議室と2階の会議室、執務室、洋間などで、面積は現公舎から約3倍に拡大した。私邸部分は1階のLDK(50平方メートル)や2階の和室(8畳)ほか。敷地内に駐車場や芝生を敷き詰めた裏庭(約400平方メートル)などを備える。
大分県県有財産経営室によると、鉄筋コンクリートの1階部分は、想定の津波(2メートル)や震度6強以上の地震にも十分耐えられるよう設計。外観は県内外からの来客をもてなす知事公舎として、県産木材を使用したシンプルで落ち着いた「和風モダン」とした。
2階の廊下上部に天窓を設けるなどして採光を工夫。はりや柱に県産スギ、フローリングにマツ、和室の畳に国東産のシチトウイを使い、応接室の建具に竹細工を用いるなど大分カラーをにじませた。敷地内には現公舎からサルスベリなど20種類34本を移植した。
今回の移転に当たり、広瀬勝貞知事は「県産材をふんだんに使用するとともに庭にも豊後梅などを配置し、大分らしさが表れていると思う。危機管理の観点からも地震、津波にも強いものを作っていただき一安心」とコメントを寄せた。
新公舎への引っ越しは25日までに終わらせる予定。現公舎は売却はしない方針で、同経営室では「県民に親しんでもらえるスペースにするなど、慎重に検討して有効活用したい」としている。