コンピューターゲーム開発会社「サマータイムスタジオ」(沖縄県宜野湾市)は6月1日から大分県九重町で一般入浴ができる温泉施設を備えたサテライトオフィスを運営している。8月からはリモートワークやゲーム用のスペースも開放する予定で、弘津健康社長(44)は「ゲームと温泉を絡めたツーリズムを生み出したい」と夢を描いている。
本社は2011(平成23)年6月に設立。主にタブレットやスマートフォン向けコンピューターゲームの開発と運営を手掛けている。従業員は12人。大分支社は福岡などへの商圏拡大を視野に、ゲーム開発に集中する新拠点として開設した。飯田高原にある馬子草(まごそ)温泉の宿泊施設を買い取り、弘津社長以下4人で運営している。
開設に当たっては「健康的に、集中して仕事ができる」場所と物件を求めて中国、四国、九州のほぼ全域を回り、現地調査を重ねた上で九重町に決めた。弘津社長は「山々に囲まれた自然、温泉に加え、光ファイバー回線に関する通信環境が抜群だった」と言う。
1階の部屋と食堂をゲーム開発の業務エリア、2階の客室をスタッフの個室に当てた。源泉掛け流しの温泉は「芸舞温泉 湯守 金獅子(げーまーおんせん ゆもり きんじし)」と名付けて誰でも利用できる立ち寄り湯として開放した。男湯、女湯それぞれに内風呂と露天風呂があり、露天風呂からは九重連山を眺めることができる。
8月中に、1階の約200平方メートルの広間に「コワーキング&ゲーミングスペース」を開設予定。モニター10台を並べるほか、過去のゲーム機やソフトなどを用意し、自由に利用できるようにする。屋外には車中泊エリア、バーベキューエリア、エアガンを楽しめるシューティングエリアなどを順次、設けるという。
今後は、友達や家族で楽しめる温泉を絡めたゲームイベント、クリエーターを対象とした交流会や勉強会などを予定しているが、弘津社長は「自然や温泉に加え、整ったインフラがあるのでゲーマーやクリエーターだけでなくさまざまなスキルを持った人を呼び込めるはず」と期待。「コンピューターグラフィックやゲーム開発の歴史や魅力を伝えていけるような新しい場所になれば」と意気込む。
温泉利用は500円。営業時間は10時~19時。火曜・水曜定休。7月20日~8月15日は改装工事のため休業。