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別府市の建て替え共同温泉、一般に貸し切り開放 「源泉掛け流し楽しんで」

「大仏温泉」の一般利用を呼び掛ける山村さん

「大仏温泉」の一般利用を呼び掛ける山村さん

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 別府市の山村尚志さん(67)が、自宅の敷地内にある地域住民用の共同温泉を建て替え、1月26日から予約をすれば誰でも貸し切りで利用できる「ゆめひのきの湯 大仏温泉」(別府市天満町、TEL 070-1941-1126)としてオープンする。泉質を変えずに高温の湯を使う冷却装置を開発し、「多くの人に源泉掛け流しの湯を楽しんでもらいたい」と呼び掛けている。

山村さんが開発した温泉冷却装置「ゆめひのき」

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 山村さんによると、風呂は1950年代に祖父の乙吉さんが「天満町1区温泉」として開設した。1970年代に一度建て替えたが40年近くが経ち老朽化も進んだことから、山村さんが再度の建て替えに着手。昨年8月に完成させ、まずは共同温泉として運営を開始した。

 山村さんは温泉マイスター協会の会員で別府八湯語り部の会会長。別府の温泉文化を伝え残す活動にも取り組む。「三代目」を建てるに当たっては「別府温泉の特徴といえる共同温泉を守る」という思いのほか、「温泉の大きな魅力である源泉掛け流しにこだわりたい」との考えもあったという。

 源泉は別府市の鶴見園第一泉源から引いている単純泉。天然保湿成分があるとされるメタケイ酸を多く含む。「つるつる感のある柔らかい湯だが、温度は冬期でも63度と高い。風呂に使うためにこれまで大量に加水していた」

 山村さんは試行錯誤の末、源泉を外気に触れさせることで泉質を変えずに温度を下げる装置を考案。碁盤目状に小さな穴を開けたヒノキ板を3段に重ねた「ゆめひのき」(実用新案登録出願中)を完成させた。上段から流し入れ、3段目を通った源泉を風呂桶にためる仕組みで、温度は流し入れる湯量で調節できるという。新しい湯は住民に好評で、公衆浴場の許可を取得したことで誰でも楽しめるようにした。

 温泉施設は約17平方メートル。坪庭を望む「碧(あお)の湯」と「茜(あかね)の湯」から成る。浴室の外部に備え付けた「ゆめひのき」から湯を引く。夕方までは公衆浴場、夜は共同温泉として運営する。昭和時代に名勝として親しまれた「別府大仏」が近くにあったことから、思いを寄せる形で「大仏温泉」と名付けた。

 一般の利用は11時30分から。45分の貸し切り制で、碧の湯は大人800円、小学生以下400円、茜の湯は同様に600円、300円。定員はぞれぞれ大人2人・子ども1人。利用は予約制で専用サイトまたは電話で申し込む。

 26日には地域住民や関係者を招いた「初湯」の体験会を開き、その後も新しい温泉交流の場としてさまざまな活動を予定するという。「近年は公衆浴場に慣れていない若い人が多くなっている」と山村さん。「源泉掛け流しで、貸し切り温泉であれば魅力もあるし利用しやすいと思う。まずは浸かってもらい、温泉の魅力を感じてもらえれば」と期待する。

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