由布市湯布院町で現在、「幻のフルーツ」と呼ばれる「ポポー」が収穫期を迎えている。
ポポーは北米原産でバンレイシ科の果樹。果肉はクリーム色でねっとりとしており、バナナやマンゴーなどのフルーツをかけ合わせたような甘みと強い香りが特徴。収穫後の傷みが早く、流通が困難で市場に出回らないことから「幻」とされる。
湯布院町在住の村田勝さんは別府短期大学名誉教授。町内に散在している耕作放棄地など約4ヘクタールを活用し、多様な農作物を育てている。
ポポーは3カ所で約1000本を栽培。木に果実を付けたまま熟させ、自然に落ちた実だけを収穫する。9月中旬からの1カ月で約8トンの収穫を見込んでいるが、出荷するのはジャムなどの加工用2トンだけで、残りの6トンは知人らに無償で提供している。
9月18日は別府市内にある障害者就労支援施設の利用者らが来園。甘い香りが漂う園内で、落ちたばかりの薄緑色の果実を丁寧に拾い集めた。40代女性は「ポポーのことは全く知らなかった。帰って食べるのが楽しみ」と話していた。
村田さんは「ポポーはまだ知らない人が多いところが面白い。栄養価も高いし育てるのも簡単。もっと広めたい」と話す。