お歳暮シーズンを迎え、大分県農業協同組合杵築柑橘(かんきつ)選果場(杵築市杵築741、TEL 0978-62-2729)では現在、県内で栽培されたかんきつ類のハウス美娘(みこ)の発送がピークを迎えている。
美娘は「興津早生(わせ)」「清見」「ページオレンジ」の掛け合わせで、一般的には「天草」と呼ばれている。大分では、ハウス栽培された天草の中で厳選したものを「美娘」のブランド名で販売。外皮も房を包む皮も薄く、果肉は柔らかくジューシーで糖度も高いのが特長といい、大分発の高級オレンジとして全国に出回っている。
同選果場では人の目と手で出来の悪い玉を除いた後、機械の内部品質センサーで糖度や酸度を測定して品質をチェック。その中で基準をクリアしたものだけを、大きさや重さを合わせながら箱に詰めて出荷する。JAおおいた東部事業部営農部園芸課の藤原圭三課長は「例年通りのしっかりとした味わい。自信を持って送り出している」と話す。
選果場からの直送というメリットを生かし、市場よりも抑えた価格で発送するほか、毎年この時期にはお歳暮ギフトの送料無料キャンペーン(北海道、沖縄、離島除く)を実施している。藤原課長は「お歳暮の慣習自体が薄れゆく中でじわじわと注文数が増えている。美娘は全国的にリピーターが多い商品で、もらった人がその味にほれ込んで今度は自分で買ったり送ったりするケースが多い」と説明する。売れ筋は特選ハウス美娘9~12個入り(4,500円)で、次いで特選ハウスデコポン8~12個入り(5,000円)。美娘とデコポン3個ずつの6個入り(3,000円)もギフトとして人気があるという。
一方で、今年の美娘の生産者は杵築市の15人で前年より4人減。出荷量も約100トンから約60トンへと大幅に減り、希少性が増したため、ハウス美娘のギフトについては500円値上げした。藤原課長は「生産者の高齢化と後継者不足は否めない。全体量も4割減ったため値上げをせざるを得なかった」と残念そうに話す。
発送についても昨年までは宅配大手3社を併用していたが、今秋に2社が値上げしたため今年は「ゆうぱっく」のみの取り扱いとした。「ゆうぱっく」も来年3月には値上げを発表していることもあり、同選果場では対応に苦慮しているという。
美娘を取り巻く状況は厳しさを増しているが、藤原さんは「美娘の食味をもっと知ってほしいので、これからも生産をフォローしつつ、発送にキャンペーンに頑張っていきたい」と話している。
送料無料キャンペーンは12月22日まで。注文は同選果場で直接受け付けるほか、全国どこからでも電話かファクス(FAX 0978-63-2738)で受け付ける。上記3種のほか、ハウス美娘8~11個入り(3,500円)、温州マルチミカン5キログラム(2,500円)、青島みかん5キログラム(3,000円)を用意する。