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大分県産新イチゴ「ベリーツ」、「過渡期」経て高級ブランド定着へ

店頭に並ぶ「ベリーツ」(大分市中央町で)

店頭に並ぶ「ベリーツ」(大分市中央町で)

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 大分県産イチゴの新品種「ベリーツ」が市場に出回り始めた。

大分の新ブランドイチゴ「ベリーツ」

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 県が8年の月日をかけて開発した、赤色と高い糖度が特長の新ブランド。デパートや青果店では「高級イチゴ」としてロゴ入りののぼりとともに店頭に並び、買い物客の目を引いている。

 卸売市場の丸果大分大同青果(大分市豊海4)によると、初競りがあった7日以降、取扱量は一日約100キロ、1パック(200グラム=8~9個入り)当たり400円ほどで取引されていたが、ここ数日は600~700円に急上昇している。「県によるさまざまなPRにより買い手が強い状態が続いている。流通量も多くはないことと、クリスマスも目前で自然と値は上がっている」という。

 小売店では「知名度があるのか、初日から順調に売れている」(市内青果店)というが、流通においては「過渡期」と県農林水産部おおいたブランド推進課。先週まで小売店の商品棚には、小さい粒を詰めたパックや「ベリーツ」のロゴが入っていないセロハンを使ったパックも並び、価格帯も600~1,000円台とばらつきがあった。

 もともと「ベリーツ」は「ゆふおとめ(大分3号)」と「かおり野」をかけ合わせた「大分6号」として、昨シーズンから試験的に販売されている。当時はブランド発売される前であったことから、サイズや包装用セロハンについての規定はなかったが、新ブランド発表後もその「名残」があったという。小売り分においては入れ替えが順次進んでいて、同課では「包装を見直し、粒もMサイズ以上の大きさにそろえていく」という。

 今季ベリーツを出荷する生産者は19戸。作付面積は88アール(0.88ヘクタール)で、35トンの出荷を見込んでいる。来期は20ヘクタールへと大幅に拡大する見通しで、県ではすでに生産者の拡充、親苗の確保など態勢を整えている。新ブランド苗は10年間県外不出とし、地元での生産体制の確立に注力する。

 JA全農おおいた園芸部園芸販売課によると、イチゴの生産者は全県で約240戸、全体の作付面積は約40ヘクタールに及び、品種は「さがほのか」が約95%を占めているという。「新たにベリーツを作り始める生産者は、栽培技術とリスクを鑑みてしばらくは並行して栽培することになるのでは」とみている。

 「スイーツのようなストロベリー」を掲げ、大分県いちご販売強化対策協議会の田中廣幸会長が「自分が作ってきた中で過去最高の品種。できれば単品で味わってほしい」と、その食味について自信を持って送り出す新品種。今後は生産、流通、消費の各現場に浮かび上がってくる課題をクリアしつつ定着を目指す。

 県農林水産部おおいたブランド推進課では「初競りで高値が付いたように関係者の期待も大きい。高級というイメージを崩すことのないよう互いに連携して、まずは地元に根付かせていきたい」と話している。

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