別府市で12月18日、「おためし移住施設 フロムーン別府ハウス」(別府市楠町15)の利用者受付が始まった。
同市が昨年10月に策定した「べっぷ未来共創戦略」を受け、人口減に歯止めをかける目的で実施する同施策。移住者の受け入れ態勢を整備し、市外からの転入を促進する。市内に約1000軒はあるという空き家への対策も盛り込み、リフォームした空き家に別府市外から移住希望者を募り、一定期間、別府での生活を体感してもらう。
利用対象は、(1)住所が別府市以外にあり(2)同市への移住を検討していて(3)事前および事後アンケートへの協力が可能で(4)別府応援団となる「別府市ハーフ市民クラブ」への会員登録が可能な人や家族など。観光目的などによる利用はできない。
本年度の募集は2018年2月5日から3月29日の期間内で4回実施する。5泊以上10泊以内で利用料金は1泊当たり5,400円(人数不問)。同市の審査を経て利用者を決定する。応募者多数の場合は審査後に抽選。
施設は、国道10号線にほど近い、JR別府駅から徒歩約10分の木造平屋建て。市が築25年の物件を6年期限で借り上げて全面リフォームした。門から玄関までは石畳を敷き、同市建設部建築指導課は「瓦の屋根は状態が良いのでそのまま使い、玄関のポーチは和洋折衷の造りで大正の風情を残した」と説明する。
間取りは1LDKで約65平方メートル。床は板張りで壁は薄いクリーム色に統一。カウンターキッチンは木製で、リビングルームにはソファとテーブル、寝室にはシングルベッド2台を配した。地下に造られた風呂は源泉掛け流しの天然温泉で、壁はひのき造り。正面には別府の湯けむりが立ち並ぶ「銭湯画」が描かれている。このほかエアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電を備えている。
利用者が登録する「別府市ハーフ市民クラブ」は、交流人口を定住人口へといざない、能動的な活動を促す制度で、会員証を使うことで市立図書館などの行政サービスの一部利用が可能となる。会員は滞在期間中に地域交流、SNSなどを使った情報発信などに努め、別府との関わりを強めていく。運営を担う同市企画部総合政策課では「滞在中にこちらから利用者に働き掛けることはないが、生活についての相談はいつでも受けるし、さまざまな提案もできる」という。
同施策は来年度も継続して行い、受け入れ施設も増やしていく方針。同課では「体験期間を5日~10日と、一般的な移住体験よりも長く取っている。その間に地域活動に参加したり、自炊したり、図書館を利用したり、別府の住み心地を体感してもらえれば」と話す。
申し込みは同市ホームページで受け付ける。問い合わせは同課(TEL 0977-21-1122)。