別府大学(別府市北石垣、TEL 0977-66-6262)が米焼酎「夢香米(ゆめ)2017」の販売を始めた。
同大「夢米棚田チーム」が大分県農業文化公園で育てている「香り米」を使い、食物栄養科学部発酵食品学科の学生が後輩にバトンタッチしながら、研究から、開発、販売までを手掛ける同プロジェクト。昨年4月には香り米1%使用の「2016バージョン」を初めて発売。新作となる今回の「2017バージョン」では香り米の添加量を2%へと増やし、より豊かな香りと味わいを引き出した。
2月3日に同大メディアホールで関係者を集めた新作のお披露目会が行われた。発案者の都甲花織さん(2015年卒)、前作を開発した高橋義樹さん(2016年卒)、新作を開発した山海志穂里さん(2017年卒)と小野浩輝さん(同)の卒業生4人と、HACCP(食品衛生の国際基準)を導入した堀田瑞稀さん(4年)、商品化について全工程で協力した製造蔵元・藤居酒造(臼杵市)の藤居徹社長がパネリストとして登壇、販売までの苦労や思いについて語った。
商品化のきっかけを作った都甲さんは「3年生の時に育てた香り米のおいしい食べ方を考えたときに焼酎に使うアイデアが浮かんだ」と話し、失敗を繰り返しながら100%の香り米焼酎を完成させた過去を振り返った。ブランド化をテーマに開発を引き継いだ高橋さんは「もろみが何%の割合が最適か、配合率に悩んだ」と言い、添加率について藤井社長が商品化へのコスト面について触れ、「香り米はコメを炊くときに一つまみ入れるだけでいいので、焼酎にもそれを生かし1%とした」と説明。高橋さんは「商品が出来上がっていく感動を今でも覚えている」と述べた。
山海さんは研究中に熊本・大分地震に遭い、「商品化できるとは思えなかった」という困難を乗り越え、香り米添加率2%への引き上げに成功。小野さんは添加率の割合を機械測定し「2%が5%よりも香りが立つ結果が出て驚いた」と話した。会場で封を切られた自分たちが開発した新作を口にして、山海さんは「香りと個性が立つ、女性にも飲みやすい味わい」、小野さんは「薄っぺらさが全くない」と笑顔で感想を述べた。
先輩たちの功績を引き継いだ堀田さんは短期間でHACCP導入を達成。昨年11月には「日本食品衛生学会学術講演会」で発表もしている。会場では「海外に向けて輸出できるレベルになっている」と「夢香米(ゆめ)」の今後の展望について語った。
一つのプロジェクトを受け継ぎ、研ぎ澄ましていく学生を支える岡本啓湖教授は「お披露目会自体が実は三度目の正直。過去に震災などの影響で中止となっていただけに、こういう場を設けることができて本当にうれしい。学生たちの足跡を伝えられてよかった」と感動した様子で話した。藤居社長は「学生だけの動きでたった3、4年の間にここまで展開するのは本当に素晴らしい。『別府大学すごい』と大きな声で言いたい」と賛辞を送った。
「夢香米(ゆめ)2017」はアルコール分25%。ヒノヒカリ98%、香り米2%使用。500ミリリットル入りで1,800本出荷。「大分香りの博物館」「大分県農業文化公園」ほか別府市内のみで販売する。