杵築市の奈多狩宿(なだかりしゅく)海岸で2月24日、クロマツ林の整備作業とウミガメの講習会が行われた。
大分県「おおいたうつくし作戦まちづくり推進事業」の一環として開かれた同イベントは昨年7月、11月に続いて3回目。海水浴客の減少、管理者不足、感染症による被害などを原因に、荒れた状態で放置されているクロマツ林を整備し、白砂青松(はくしゃせいしょう)の景観を取り戻す目的で実施した。
昨年5月に発足した「奈多狩宿海岸の松林を守る会」、NPO法人「アイラブグリーン大分」のほか、地元住民や県職員ら約60人が参加。間伐、枝の切り払い、腐葉土の除去作業などを行った。八幡奈多宮ではウミガメ講習会も開いた。
作業は9時から正午まで行われた。参加者はのこぎりやチェーンソーで光を遮っている枝を切り落とし、枯れている木や密集して植えられた木を協力しながら切り倒した。堆積した腐葉土はショベルカーでかき集め、下の地面が見えるまで取り除いた。守る会副会長の亀井義則さん(73)は「昔の海岸は家の延長にある庭のようなものだった。それぞれの家が畳表の七島イ草を並べて干していた」と振り返り、「クロマツ林は10ヘクタールはあると思う。時間はかかるが元の海岸に戻したい」と意欲を見せる。
ウミガメ講習会は、昨年、同海岸で数十年ぶりにアカウミガメの産卵とふ化が見られたことを受けて企画。県環境教育アドバイザーの海原明子さんが、映像を交えて国東半島へのアカウミガメの上陸状況などを紹介した。海原さんは「上陸して産卵した場所に続けて来るケースはよくあること。この夏も楽しみにしている」と期待を寄せた。
守る会の木村会長は「ウミガメが戻ってくるようなきれいな海岸にしようと会を立ち上げたところ、偶然にも本当に上陸して産卵、ふ化してくれた。ウミガメのおかげで地域の海岸整備への熱が高まった。この盛り上がりを大事にして活動を続けていきたい」と意欲を見せる。
次回開催は3月17日を予定。