大分市の府内町に3月11日、クラフトビール専門店「Abe Bond」(大分市府内町1、TEL 097-578-8483)がオープンした。
日出町出身の阿部康三さん(50)が営む同店。「副原料を足すことでうま味を引き上げる工夫をした、個性あふれる本格的ビール」を提供する。
阿部さんは着物や布団などの生地デザイナーとして関西で働いていたが、大阪で出合ったクラフトビールにほれ込んで一念発起。約3年にわたり島根県や栃木県のビール醸造所で経験を積み、地元・大分に戻って店を開いた。
店舗面積は隣接の醸造所合わせて約50平方メートル。木目のカウンターにメニューを記した黒板などを配置した、シンプルなレトロ調の空間に仕立てた。椅子は12席を用意しているが、立ち飲み形式にすれば30人は入るという。会計はビールを受け取るときに代金を支払う「キャッシュオン」形式とする。
3月20日に酒類製造免許を取得したばかりで、ビール造りはこれから。現在はクラフトビールを大分にも広めたいとの思いから「先行開店中」で、自身が修業した醸造所などからお薦めのビールを取り寄せて提供している。「一般的なビールは一本調子ともいえるが、ビールの世界は、実は日本酒やワインのように奥深い。深掘りした味わいを紹介したい」と意気込む。
店では随時入れ替えながら7種類ほどをそろえる。それぞれが個性的な切り口で仕込まれており、アルコール度数、苦み、甘み、香り、色合いも当然のように異なる。量はグラス、ハーフなど4種類から選べる。「MARCA」(大阪市)の「コーヒーアンバー」(グラス500円)は、コーヒー豆を使った色の濃いビールでアルコール度数は4.5%。「いった豆の味と香りが楽しめる、驚くほどうまい一杯」と阿部さん。「うしとらブルワリー」(栃木下野市)の「百花繚乱(りょうらん)」(同550円)はアルコール度数7%で「際立ったホップの香り、苦味、爽やかさがたまらない」。ほかにも、米こうじを使った日本酒の風味を楽しめる「ビアへるん」(島根県松江市)の「おろち」なども用意する。
自身のオリジナルビールについては、3月末から約1カ月かけて仕込み、5月に新商品を登場させる予定という。「まずは機材の調子を見ながらクラフトビールの基本ともいえるペールエールを造る。もちろん、ユズやカボスといった大分ならではのかんきつ類を使ったビールにも挑戦したい」と夢を広げる。
その場で数種類の飲み比べができるのがクラフトビール専門店の魅力。阿部さんは「醸造所は国内に300カ所ほどあるが、消費量はビール全体の1%ぐらい。その中で個々が腕を磨き、相互販売などで協力し合って頑張っている。それぞれの職人が造る、アイデアの詰まった不思議でうまい未知の味を飲み比べてほしい」と来店を呼び掛ける。
営業時間は17時~23時30分。