大分市の鶴崎地区で4月8日、剣八幡宮の春季大祭「けんか祭り」が行われた。
約370年前から続く同地区伝統の祭りで、毎年4月の第1日曜に開いている。地区内の各町がそれぞれの「けんか山車」を1対1で激しくきしませ合い、勇壮さを競う。
鶴崎文化研究会の事務局長・野村広幸さん(80)によると、同八幡宮は1645年創建で、春季大祭はその後間もなく始まったとされる。「けんか山車」は、ご神体を乗せたみこしが無病息災を祈願して町を巡る際の「お供山車」として生まれたという。
ご神体に見立てた宝剣を飾った山車の重さは約1トン。「けんか」の際は、互いの丸太が外れないように組み合わせ、相手の山車を壊すように上下左右に激しく揺り動かす。「昔は何時間かけても相手の山車を壊すまで戦った」と野村さん。
8日は、三軒町、国宗、中央区、寺司、山川の山車5基が町内を練り歩き、17時までに「練り場」の鶴崎公園グラウンドに集結。戦う相手を替えては何度も組み合った。
1回の対戦時間は約10分。伴奏の「太鼓山」が笛や太鼓で盛り上げる中、山車の上に乗った男衆が、サカキを手に踊りあおり、大きな声で山車を動かす方向を指示。2組の山車は「ギシギシ」と丸太をきしませながらも互いに譲ることなく、一体となってグラウンド内を動き回った。
福岡から祭りを見に来たという男性は、カメラを手に「熱気がすごいし迫力がある。シャッターを押す手が止まらない」と目の前の勇壮な祭りにくぎ付けに。野村さんは「鶴崎には、数百年続く清正公二十三夜祭や鶴崎踊もある。小さいが伝統がある町として誇りに思う」と話していた。