プレスリリース

大分高専の「水素分離システム研究」で脱炭素社会を目指す!

リリース発行企業:独立行政法人国立高等専門学校機構

情報提供:

大分工業高等専門学校(大分県大分市、校長・山口利幸、以下「大分高専」)機械工学科 松本佳久教授と共同で水素分離システムの研究を行ってきた大分市内の企業 株式会社ハイドロネクスト(以下「(株)ハイドロネクスト」)は、令和3年に高専機構のGEAR5.0事業(注1)の一環として大分高専内に「産学官協働研究室(ハイドロネクスト水素協働研究室)」を設置し、本校の教員や学生と共に社会実装を目指した研究を進めてきました。 上記の取組みに対しては、令和3年7月1日(木)にOBS大分放送テレビの取材があり、同年8月8日(日)に九州6局ネットで放送されました。 【URL】 https://www.oita-ct.ac.jp/blog/2021/07/13/20210713_matlab3179/      https://thetv.jp/program/0000837858/477/


水素分離システムの実験を行う松本佳久教授
水素分離デバイスのモデル
水素分離デバイスの性能
松本佳久教授とハイドロネクスト社員との共同開発の様子
特徴
 本研究は脱炭素社会における新エネルギーとしての水素エネルギーを有効に取り出す画期的なもので、世界規模の地球温暖化の解決に貢献する技術です。水素社会の実現に向けて水素精製技術の確立が求められている中、本研究室では教員と学生及び企業、自治体の連携により、次世代水素透過金属膜の研究開発と実装製品の検証を行っています。
ラボスケール水素透過実験中の大分高専学生
実用レベルの大径バナジウム金属膜(直径85mm)
水素分離デバイス実装後のバナジウム膜形状の変化

誕生の背景
(水素精製システム)

学生と企業技術者による月一回の定例ミーティング風景
 2015年のパリ協定以降、「脱炭素」が世界共通のキーワードとなり、次世代のクリーンエネルギーとも言われる水素は今、注目をあびています。
 水素を燃料電池などに利用する場合、高い純度が求められますが、二酸化炭素などの不純物を取り除くためには各不純物に専用の吸着物質が必要であり、コストも手間もかかっていました。
 そうした中で、大分高専の松本佳久教授は5族金属のバナジウムを水素分離膜として使った水素精製システムをラボスケールで開発し、その研究成果を発表してきました。この金属膜を用いた水素精製は安価であり、かつ原子篩による作用を利用しているため、理論純度100%の水素を僅か一つのプロセスで実現できます。また精製プロセスの規模に応じたサイズで水素分離デバイスに適用できるため、産業分野での導入でも設計の柔軟さがあり、実証に向けての大きな障壁はありません。
 金属膜による水素透過のイメージ: https://www.youtube.com/watch?v=iWAb923HXUc&t=10s

(協働研究室)
そうした中で、大分市の大分高専発ベンチャー企業「(株)ハイドロネクスト」が開発したのが「水素精製システム」です。開発した水素透過金属膜の技術を応用して社会実装を進めるため、令和3年2月15日には(株)ハイドロネクストと大分県の協力により「ハイドロネクスト水素協働研究室」が大分高専に設立されました。本研究室で共同開発されたのが、5族金属膜を用いた水素精製デバイスです。混合ガスを「バナジウム金属膜」に透過させることで、燃料電池にそのまま供給可能な高純度の水素が精製できるようになりました。シンプルな構造である上に、従来の貴金属ベースの膜よりも安価な材料を用いるため、製造コストやランニングコストを抑えることができます。
バナジウム薄板を用いた水素分離デバイスのイメージ(モックアップ)
水素の精製能力を高専内の水素協働研究室で調べる
企業技術者が協働研究室で直接学生と交流する様子

使用方法など
水素と水素以外の物質が混じったガスを少し温度を上げた薄い金属の膜に通すと、水素だけを分離させることができます。非常にシンプルな仕組みになっており、金属格子のすき間を水素原子または水素イオンが通過することで理論上は純度100%の水素が得られるようになっています。たった1枚の膜が、原子のふるいになるというわけです。

大分高専では水素精製において研究室レベル(ラボスケール)の基礎実験しか出来ていませんでしたが、ハイドロネクスト水素協働研究室の設置により、水素分離デバイスの社会実装に向けた研究開発が加速的に進められるようになりました。また、研究開発を通して企業と学生の交流が盛んに行われており、教育的な側面でも大きな効果が得られています。

今後の展望
(株)ハイドロネクストは大分高専発ベンチャー企業(https://www.hydronext.co.jp/)であり、かねてより松本佳久教授は高専機構のクロスアポイントメント制度(注2)により同社の主席研究員も務めていましたが、ハイドロネクスト水素協働研究室の設立により研究環境が一層充実しました。脱炭素社会の構築に向けて注目が集まる中、大分の地の利を活かした水素エネルギー社会の実現を地産地消のモデルで挑戦し続けていく所存です。
現在、地元大分のコンビナートから出る副生ガス(注3)や地熱と木質バイオマスを活用した水素精製に取り組んでおります。
今後は、アンモニア分解ガスからの水素分離にも挑戦し、輸送機器などの動力源への水素供給にも対応すべく研究開発・技術開発を産学官連携で行っていく予定です。

なお、大分高専の松本佳久教授と(株)ハイドロネクストの永井正章CEO「超高純度の水素を安価に精製する金属膜の技術 -その社会実装に向けての取組み-」で日本MRSから201911月に貢献賞を受賞しています

<用語解説>
注1:高専機構が推進する「未来技術の社会実装教育の高度化」事業のこと
注2:研究者等が大学、公的研究機関、企業の中で、二つ以上の機関に雇用されつつ、一定のエフォート管理の下で、それぞれの機関における役割に応じて研究・開発及び教育に従事することを可能にする制度のこと(経産省HPより)
注3:石油化学コンビナートや製鉄所などの工場から副次的に生産されるガスのこと(H2,O2,N2,CO,CO2,CH4,C2H2,C2H4,C2H6,C3H6,C3H8など、水素のほかにも様々な炭化水素成分などを含んでいる)

【参考URL】
・九州経済産業局による紹介URL: https://www.youtube.com/watch?v=YYY7oau1R04
・YouTube: 参考URL: https://www.youtube.com/channel/UCGNPzhaeBfQBSwRcug2siTQ
・大分高専松本研究室URL: http://onct.oita-ct.ac.jp/kikai/matumoto/
・(株)ハイドロネクスト社主席研究員紹介URL: https://www.hydronext.co.jp/profmatsumoto/


【株式会社ハイドロネクスト概要】
会社名: 株式会社ハイドロネクスト
所在地: 大分県大分市三佐650-2
代表者: CEO 永井 正章
設立:  2015年12月
URL: https://www.hydronext.co.jp/
事業内容: 水素精製装置の研究開発、ガス混合装置の製造、水素精製装置のコンサルティング


大分工業高等専門学校について
機械工学科、電気電子工学科、情報工学科、都市・環境工学科の4つの学科及び機械・環境システム工学専攻、電気電子情報工学専攻の2専攻からなる専攻科を有しており、「人間性に溢れ国際感覚を備え、探求心、創造性、表現能力を有する技術者の養成」を教育目的としています。

【学校概要】
学校名: 独立行政法人国立高等専門学校機構 大分工業高等専門学校(大分高専)
所在地: 大分県大分市大字牧1666番地
代表者: 校長 山口 利幸
設立: 1963年4月
URL: https://www.oita-ct.ac.jp/
事業内容: 高等教育機関(高専)

【お問い合わせ先】
大分工業高等専門学校 総務課総務係
TEL:097-552-6075(受付時間:平日9:00~17:00)
e-mail: somu@oita-ct.ac.jp

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