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JA全農おおいたのEC事業、飛躍の時 部署活性と商材多彩化で「大分の良品を全国に」

提供:JA全農おおいた 制作:大分経済新聞編集部

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 JA全農おおいたのEC事業が飛躍の時を迎えている。この5年で売り上げを着実に伸ばしていたところに、昨年新設した専門部署「直販開発課」が活性化。コロナ禍で売り上げが減った大分ブランド食材を通販サイトで販売するなど、ECを通して生産者を支援する体制を固めつつある。サイトで販売する商品も「農林水」の連携で多様な品ぞろえが可能となっており、「全国の消費者に大分の良品を届ける」取り組みが羽ばたこうとしている。

EC市場の拡大に合わせ「再着火」

 全国農業協同組合連合会大分県本部は大分県の農業協同組合の連合会として幾度かの組織再編を経て、2002(平成14)年に設立された。現組織は組合員が生産した農畜産物の販売、生産に必要な資材の安定供給と農業経営の発展等を目的に、主に「BtoB」の枠内で流通事業を展開している。JA全農おおいたはその愛称。

 消費者に農畜産物を直接販売する事業は2007(平成19)年に開始。全国農業協同組合連合会(JA全農)が運営する通販サイト「JAタウン」に「JA全農おおいた」を出店した。ショップでは、かぼす果汁入り飲料の「つぶらなカボス」や「おおいた豊後牛」のもも肉やロース肉など数点を並べたが、一事業として注力しなかったこともあり、2014年度まで年間売り上げは100万円未満という数字が続いていた。

かぼす果汁入り飲料の「つぶらなカボス」と「おおいた豊後牛」

 その後eコマース市場が急速に拡大したことを受け、2015年度からEC事業に本腰を入れ始めた。選び抜いたハムやウインナーといった加工品や茶などをラインアップに加え、商品数を30品まで増加。売り上げを2,400万円まで伸ばした。担当の二宮広和さんは「数字を残せたことで生産者や取引先、内部がついてきた」と振り返る。

 厳選した農産品にはもともと商品力があった。年金受給者向けギフト、ふるさと納税の返礼品として人気が高まり、EC事業関連の売り上げは急増。2016年度は1億1,000万円、2017年度は3億5,000万までに伸びた。2018年度以降も3億円前後で推移しており「今年度は5億円を見込んでいる」という。

「BtoC」担う「直販開発課」誕生

 EC事業の存在感をさらに強める目的もあり、2019年の組織改革で営農開発部を新設。部内に「BtoC」に軸足を置いた「直販開発課」を立ち上げた。同課には10人が在籍。ECショップの管理、ふるさと納税などのEC事業拡大、アミュプラザおおいたに構える直営レストラン「カフェ&ダイニングみのりみのる」の運営、箱詰めを行うギフトセンターの管理などに当たっている。近年のEC事業の急激な伸びに田中篤史課長は「人員が整い、ようやく形になってきた」と手応えを感じつつ「まだまだこれから。ようやくスタートラインに立ったという段階」と気を引き締める。

2019年に開設した「直販開発課」

 このうち「JAタウン」やネット通販のアマゾンなどのショップの管理は山本朝子さんが担う。幼少時からラグビーを続け、臼杵高、帯広畜産大(北海道)と行く先々で新しく「女子ラグビー部」を立ち上げた活力あふれる若手。2019年は大分県ラグビーフットボール協会の女子チーム「大分ウイメンズ」の国体チームの主将として仲間を引っ張った。「自分で言うのもおかしいがタフさが取り柄」と笑顔で話す。

 商品企画から受注、仕入れ、発送までの一連の流れに携わる。商品説明ページの作り込み、在庫確認、ギフトセンターでの箱詰め作業も手伝う。多岐にわたる業務をこなしながら「JAタウン」で販売する商品数も300点を超えるまでに増やした。

 メールや電話での問い合わせにも対応する。「おいしかったという感想やクレームも含めてお客さまの声を直接聞けるのは大きい。要望や意見を反映した商品を探して提供できるとうれしくなる」

苦境の生産者をEC事業で応援

 今年の4月以降、新型コロナウイルスの影響で外食産業などが冷え込み、高級食材の消費が縮小。大分のブランド肉は連鎖的に値崩れを起こした。JA全農おおいたは、苦境に立つ生産者を応援しようと7月にブランド肉を返礼品とするクラウドファンディングを実施。10月からは県の受託事業として肉、生花、水産加工品などを最大3割引きで販売する「おんせん県おおいたWEB物産展」を展開している。

「おんせん県おおいたWEB物産展」を手掛ける山本さん

 「WEB物産展」は「JAタウン」内に2021年3月末まで開設。「買って応援、食べて応援」をコンセプトに「おおいた和牛」「冠地どり」、乾シイタケの「うまみだけ」、「かぼすブリ」「かぼすヒラメ」といったブランド商品や花き、コメなど49品を販売している。

 良品を手頃な価格で購入でき、条件付きながら送料無料といった特典も付いていることから売り上げ件数は開始2週間で2000件に達し、前2週間との比較ではおよそ6倍となった。

 人気の商品は大分県産温泉うなぎかば焼き、「おおいた和牛」の切り落とし、バラ、小間切れ、サーロインステーキなど。鉢花のプリンセチア、関あじ・関さばなどをしょうゆだれに漬け込んだ大分県の郷土料理「りゅうきゅう」のセットも売れているという。

 敷地内にある食肉販売課のミートセンターでは「おおいた和牛」の切り分け、パッキングなどを行っている。藤井圭一課長は「商品の魅力はもちろん、全農ならではの安心・安全感も伝えたい」と話す。

「おおいた和牛」の切り分けやパッキングなどを行うミートセンター

 新規会員やリピーターも増え、メルマガの登録件数も2020年3月の1200件から3000件までに急増した。「大分ブランド」の販路拡大と知名度アップに貢献した形で、山本さんは「きちんとした情報をほしいと思っている人が多いことが分かった。発信者として責任も感じる」と言う。

 JAタウン自体の売り上げは「巣ごもり需要」などを背景に、2020年4月から9月末の時点で昨年1年間のほぼ2倍となる3100万円を計上している。同課ではWEB物産展での上乗せ分も含めて6000万円以上を売り上げを見込んでいる。

急速拡大の一方で課題も

 EC事業が急速に拡大する一方で課題も浮き彫りとなってきた。時間をかけて広げてきた流通網に「通販仕様」の概念がなかったことから、全体的に新事業への対応が遅れているという。

 二宮さんは「JAタウンで他地域は特産のフルーツを前面に押し出し、それが飛ぶように売れている。大分も商品力の強いシャインマスカットなどを押し出すため、通販用の箱やクッション材などを他部門や農協と一緒に改良していった。自分たちを含めた生産者や農協間で、情報やマニュアルの共有を早急に図りたい」と話す。

JA全農おおいたのギフトセンター

 課内でも管理体制の整備を急ぐ。現在は、各ショップの売り上げ件数と金額は手作業でまとめているが、業務の効率化や売り上げアップを目的に数字を一元化できる管理システムの導入を進めるという。加えて独自ECサイトの開設の構想もあり、こうした業務の拡大に伴う人員投入も視野に入れている。

 消費者に向けた施作についても並行して走らせる。今後、プロサッカーチームの大分トリニータとのコラボ企画を予定しており、JA全農が全国を対象に始めるクラウドファンディングでは、商品力のある大分が一番手に選ばれているという。このほか「お客さんに直接還元するキャンペーンや新規やリピートの会員向けのサービスも考えている」と山本さん。

「オール大分」で消費者に愛される「EC事業」へ

 同課では2020年度を2015年度に次ぐ「EC転換期」と位置付け、飛躍を支える要素の一つに「農林水連携」を挙げる。

 以前の販売品目は「農畜産物」だったが、2016年に大分県漁業協同組合(JFおおいた)と連携したことで、りゅうきゅうや干物などの水産加工品の販売が可能となった。さらに今回のWEB物産展を機に、刺し身で食べられる「かぼすブリ」「かぼすヒラメ」といったブランド魚もラインアップに加わった。ほかにも大分県花き生産者協議会、大分県椎茸農業協同組合ともつながったことで鉢花や花束、乾シイタケなども同じページに並ぶようになった。同課では「今後の展開を考えるとこの時期に『オール大分』の体制を固められたのは大きい」とする。

農林水の生産者が連携して「大分の良品を全国の消費者へ」

 商品力、新体制、オール大分で展開するEC事業について「まだまだ通過点と考えている」と田中課長。「大分の魅力が詰まった一次産品の良品をそろえ、全国の消費者に愛される事業として育てていきたい」と意気込む。

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