大分市中心街で現在、ビル内通路の壁に作品を描いたり、街なかの一角を捉えた写真を公開したりするパブリックアート作りが進んでいる。
大分市アートを生かしたまちづくり推進会議(事務局=大分市役所商工労政課内)がアートの力を活用して地域の魅力づくりなどを図る目的で2013(平成25)年にスタート。これまでにアートフェスティバルの開催やストリートに点在させるパブリックアート制作などを展開してきた。今回は美術家の藤田洋平さんと写真家の林ナツミさんが2024年度のアーティストとして参加する。
藤田さんは大分市出身。主にドローイングを手がけ、県内で活動している。8月の下調べで、商店街のガレリア竹町にある築53年の布屋ビル(大分市中央町3)を自ら見出した。制作場所は2階通路の片側の壁で、大きさは横15メートル、縦2.5メートル。「ガレリアの鳥」のタイトルで、青い鳥を求める子どもや若者の姿を大分の風景を入れ込んで描く。白く塗り直した下地に鉛筆で下描きし、アクリル絵の具を使ってカラフルな作品に仕上げるという。
「ここまで大型の作品は初めて。面白さを感じてほしい」と藤田さん。完成は11月30日で、制作中も鑑賞できる。
林さんは埼玉県出身。写真集を刊行し個展を開くなどの活動を展開。2016(平成28)年から8年間、別府に住んだ経験もあり、大分への思いも強いという。今回は「街なかにある分からないけど心地いい」という抽象的な場所や物などを撮影。「#SALVATION in OITA」と名付けた写真群を公開する。
11月17日までの撮影期間に中心街を歩き、見過ごされがちな壁の染みやコンクリートの模様などを切り取る形で撮りため、31枚を選出。1月1日からインスタグラム、フェイスブック、Xで来年1月31日まで1日1枚ずつ公開していく。
SNSでの公開に先立ち、12月1日からはJR大分駅の3・4番線のエレベーター脇にパネル化した一部の写真6枚を掲示する(1月31日まで)。林さんは「これまでとは異なる視点で大分の街の魅力を楽しんでほしい」と呼びかける。