大分市のライブハウス「Sound cabin 音遊び」(大分市上宗方、TEL 090-6637-8237)が閉店するのに合わせ、6月30日に「音遊びありがとさんライブ」を開く。
フォークソングをこよなく愛する世ノ上(よのうえ)昇さん(67)が2004年に趣味で開いたライブハウス。これまでにボブ・ディランの歌詞や詩集を日本語訳した中川五郎さん、昨年4月に69歳で亡くなったフォーク歌手の加川良さんをはじめ、全国で活躍するツアーミュージシャンらを招いて不定期のイベントを開催してきた。その建物が今後進む道路拡幅工事区内(一般国道442号宗方工区)に含まれることから閉店を決め、最後に記念のライブを行うことにした。
12時開場予定で入場は自由。飲食の持ち込みも可能。来場者が「気持ち」を料金で払う「投げ銭型」で行う。6月14日現在、日田市のシンガー・ソングライター梶原浩之さん、福岡県の宿六兄弟、熊本県のジン&クミらが演奏予定。「これからもまだまだ増えると思うし、『魂の1曲』を歌いたい人の参加も受け付ける」
世ノ上さんは愛媛県生まれの大分育ち。高校時代に「フォークの神様」とされる岡林信康さんの歌に感動して以来、長きにわたって「心揺さぶる歌」を追い続けてきた。「20年前に中津江村ミュージックフェスティバルに参加した歌手が大分市内の焼き鳥店でライブを開くというので、駆け付けたら私たち家族だけだった。その時に『こういった場所にも来てくれるんだ』と思った」。1998年に音楽好きの仲間とともに大分市下郡の喫茶店でライブを始め、引き継ぐ形で自身の店をオープンした。小さなライブはチャリティーコンサートへと成長し、会場も七瀬川自然公園へと青空の下に移った。今年は、5月20日に大分市の田ノ浦ビーチで開催し、ツアーミュージシャンや全国のライブ会場で活動するシンガーら19組が、フォークソングやブルース、ニューミュージックといった「昭和」を代表する音楽を披露した。「趣味でやっているので毎回ほぼ赤字。毎年、この日のためにためては使うを繰り返している」と笑顔で話す。
店を開けるのは2月以来、約4カ月ぶり。店内の壁には色とりどりのポスターが貼られ、これまでに参加した歌手のサインがびっしりと書き込まれている。「思い出の場所だが、20年を振り返らずにここまで来ているのでこれからも前に進むことを考えたい」と自身の気持ちを封印する。
公務員だった世ノ上さんはすでに定年を迎えていることもあり、大分市内から由布市湯布院町下湯平にある、約1000平方メートルの敷地を抱える民家に移り住んでいる。納屋や倉庫をライブハウスに改装し、第二の「音遊び」とする予定。「まずは地域と一緒になったイベントを開いてみたい」とし、「出会った歌手はごく一部だと思っている。今後も聴く人の心をわしづかみにするような野心を持った歌手を探して招きたい」と意気込む。
30日のライブは17時までに終わらせ、会場を下湯平へと移して第2部を開きたいとも言う。「心を揺さぶられる歌に出合ったことがないという人も多いと思う。初めての人でも楽しめるし、感動すると思うので気軽に来場してほしい」と呼び掛ける。
注)本イベントは関係者の都合により中止となりました。