大分市で唯一の鉱泉を抱える塚野鉱泉(大分市廻栖野)で9月23日、「第12回健康祭り」が開かれる。鉱泉水のそうめん流し、入浴、鉱泉水の持ち帰りなどを無料で実施。鉱泉の存在と魅力をPRする。
塚野地区や胡麻鶴地区の住民や旅館関係者らでつくる実行委員会の主催。実行委員長は、鉱泉を管理する「山水荘」(TEL 097-541-0008)の社長・後藤幸蔵さん(71)が務める。
地域交流と鉱泉のPRを目的に毎年開催。当初は関係者ら200人が集まる小さな祭りだったが、回数を重ねるごと口コミなどで参加者が増加。昨年は約600人が来場したという。
鉱泉水を使うそうめん流しのほか、餅まき、ステージイベント、大分市保健所による健康診断を実施。入浴施設(通常200円)を無料で開放し、持ち帰り用のペットボトルなどを持ち込めば鉱泉水(通常1リットル100円)も無料で配布する。
山水荘隣接の広場で11時から開会式があるほか、餅まき(11時30分~)、保育園児の太鼓演奏(11時45分~)、ベリーダンス(12時30分~)、フラダンス(13時~)、日本舞踊(13時45分~)、子ども神楽(15時~)を行う。健康診断は9時~12時。
メインのそうめん流しは12時と14時45分の2回に分けて実施する。奥の鉱泉源へと続く坂道を利用し、竹で作った長さ約30メートルの台を用意。鉱泉水を利用して数カ所からそうめんを流す。「一度に150人以上は食べられる」と実行委員会。
「塚野鉱泉」は1884(明治17)年、主に湯治場として開業。「塚野霊泉」として130年以上にわたり、体の不調に悩む人を癒やしてきた。泉質は「含二酸化炭素・ナトリウム・炭酸水素塩泉」で源泉の温度は17度。山水荘によると「飲用では胃潰瘍や便秘などの消化器系、浴用では神経痛や外傷に効能があるとされる。飲めば微炭酸、酸味、塩味、鉄分が体に染みていくのが分かる」。
古くは5軒の旅館が立ち並び、広島、山口、福岡からの湯治客でにぎわったという。後藤さんは「昭和後期は『1人畳1枚』という感じで、1日に100人を泊めることもあった。多くの人が飲んで漬かってを繰り返し、4日ぐらいで元気になって笑顔で帰っていった」と振り返る。
緑深い山から注がれる清流園田川沿いに広がる静かな空間は変わらないが、旅館は山水荘1軒だけとなった。後藤さんは「もともと県民の利用は少なかったし、広島・別府航路がなくなり県外からの客足も減った。周囲に遊ぶところが何もないのも今の時代に合っていない。いつの間にか訪れにくいところになったんだと思う」と寂しそうに話す。
祭りでは「塚野鉱泉をほとんど知らないと思われる若い世代に鉱泉の魅力を伝えたい」と言う。「余るかもしれないが700人分のそうめんを用意した」と目標は控えめだが、「泉質と美しく静かな自然には絶対の自信がある。たくさんの人に『こんなところがあるんだ』と知ってほしい」と来場を呼び掛ける。
入場無料。100台収容できる駐車場あり。