大分市の個人庭園「ひろかわバラ園」(大分市志村、TEL 097-521-8603)で現在、バラの花が見頃を迎えている。無料開放から3年目の今年は来園数が増加。華やかな立体庭園は、連日のように幅広い世代でにぎわっている。
広川憲治さん(70)と妻のまち子さん(67)が敷地を開墾して整えた手作り庭園。2011年に趣味で始めたが、種類と本数がそろった2017年を機に、無料で一般開放することにした。敷地入り口から邸宅まで続く約70メートルのスロープ、2階建てのオープンテラスなど庭の高低差を生かした立体的な造りが特徴。5月上旬から約1カ月にわたって190種類、330本が順に咲く。
園内には、ゆっくり見て回れるように休憩用の小屋、複数のテーブルセットを備える。不定期でオカリナなどの演奏会も開く。今年は来園者の新たな憩いの場としてイングリッシュガーデンを併設したほか、開園時間もあえて設けなかった。「好きな時に来て好きな場所で楽しんでいってほしい」とまち子さん。
5月5日に開放を始めると、こうした2人の来園者目線のサービスに加え、口コミやテレビ放送などの効果で来園数がじわじわ増加。12日には、一日としては過去最高の505人を記録した。昨年は5月3日から31日までの間に約3700人が来園しているが、今春は9日間で既に約2300人が訪れているという。愛媛、熊本、宮崎などの県外組も増え、年齢幅も広がっており、憲治さんは「特に若い人の姿が増えたので驚いた。本当にうれしい」と喜んでみせる。
13日現在、つる性の早咲きに代わって木立系が咲き始め、淡いピンク色の大輪「ロココ」、赤い「パレード」、ピンク色の「ピエール・ドゥ・ロンサール」などが満開。今週末にかけては憲治さんが「一番好き」という世界一小さいバラ「リトルウッズ」や同園の顔ともなっている「バレリーナ」が咲きそろい、「まさに見頃となりそう」。
同園では、それぞれのバラを美しく見せるために他の草花も活用している。白い「オルラヤ」や青紫の「チドリソウ」などを所々に植えて「主役」を引き立てている。「アレンジメントやブーケのカスミソウと同じ。より調和が取れ、全体が美しく見える」とまち子さん。
色合いには憲治さんも注力。淡い紫色の「たそがれ」に金茶の「バタースコッチ」を合わせるなど「和」の色合いを演出。「それぞれの花の個性はもちろん、花々の取り合わせ、庭園としてのグラデーションなども楽しんでほしい」と呼び掛ける。
今後はバラの管理に加えて菜園や果樹園などの整備も考えているという。まち子さんは「来てくれた人に喜んでもらえる場所になれば、それだけでいい」と笑顔。2人の「バラ色の人生」はまだまだ続く。
16日13時30分からハープ、18日・19日10時からオカリナの演奏会を開く。駐車場は国道197号線沿い、志村バス停そば(ブロック資材置き場)に15台分、地区内3カ所に8台分あり。