大分市の萬弘寺(大分市坂ノ市)で5月18日の朝早く、1400年以上続く「萬弘寺の市」恒例の「物々交換」が行われた。参加者が暗闇の中で「換(か)えんかえー」の掛け声とともに持参物を交換し合い、風変わりな伝統行事を楽しんだ。
主催は萬弘寺の市保存会(TEL 097-592-5007)。毎年、「萬弘寺の市」期間中の土曜日の早朝に行っている。
18日は夜明け前の4時に開会式を開き、保存会の高森紀郎会長が「令和最初の開催。昔の人たちが生活のために考えた物々交換を次世代の子供たちに伝えていきたい」とあいさつ。保存会メンバーが仮装姿で寸劇を行い「物々交換の始まりー」と宣言した。
会場には大きな袋や段ボール箱を抱えた市民らが来場。保存会メンバーも加わり、それぞれが持ち寄った野菜、果物、酒、手作りの菓子や雑貨などを手に「かえんかえー」と声を掛け合い、品定めと交換を楽しんだ。
大分市松岡の石井秀人さん(49)は家族3人で初参加。長男の翔君(小5)は持参したぬいぐるみがミカンと花に代わり「楽しかった」と喜んだ。秀人さんは「ずっと参加したいと思っていた。途中、財布に代わったり、持ってきたぬいぐるみが戻ってきたりして面白かった」と笑顔で話していた。
1435年の伝統があるという「萬弘寺の市」は、毎年、同寺の観世音菩薩(ぼさつ)の縁日に当たる5月18日から24日まで開催。同寺横の広場などで地域住民によるステージや各種サークルの出し物、関連イベントなど約90の催しを行う。主なイベントは「こども物々交換」(19日)、「丸太早切り大会」(同)、「坂ノ市小鼓笛隊パレード」(21日)、「ところてん早食い大会」(22日)、「紅白歌合戦」(24日)など。