別府市の大型リゾートホテル「別府温泉 杉乃井ホテル」(別府市観海寺、TEL 0977-24-1141)を運営するオリックス不動産(東京都)は6月12日、同ホテルの大規模リニューアル計画を発表した。2025年までに400億円以上を投じて老朽化した施設を建て替え、2棟を新設して客室棟を3棟から4棟に増やす。
会見で、同社の似内(にたない)隆晃副社長と同ホテルの佐々木耕一総支配人が説明した。好調に推移する国内宿泊客や増加が想定されるインバウンド(訪日外国人客)の受け入れを背景に、計画の理由として、現在、客室棟として使っている1966(昭和41)年建設の「Hana館」(13階建て、215室)と1971(同46)年建設の本館(14階建て、369室)の老朽化などを挙げた。
工事では屋内レジャープール「アクアビート」の西側と「スギノイパレス」の北西部に客室棟を新設し、「Hana館」を新客室棟に建て替え、本館を解体する。両新棟の間に新しく立体駐車場も設ける。耐震補強工事を終えている中館(7階建て、63室)は継続して営業。水道や電気、ガスのインフラ部分も全面的に刷新する。工事の詳細は未定。6年間の工期中は約500室での営業を維持する。
客室数は現在の647室から約50室増える見込みで、客室棟と「アクアビート」や露天風呂やバイキングレストランなどを備える「スギノイパレス」が隣接することで、間延びしていた動線が解消し、施設間の移動が容易になる。
ターゲットについては「従来の九州地方の3世代ファミリー層」としているが、新3棟それぞれに特色を持たせることで外国人客や富裕層の利用増も視野に入れており、似内副社長は「海外や全国、九州のお客さまに楽しんでもらえる施設にしたい」と含みを持たせた。
老舗ホテルの命運が懸かる新事業に佐々木総支配人は「新施設というハードに負けないよう従業員のスキルアップを進めていく」とし「大型投資をすることで日本一を目指し、別府全体を盛り上げていきたい」と述べた。
「別府杉乃井ホテル」は1944(昭和19)年開業。昭和の高度成長期を背景に西日本有数のリゾートホテルへと成長したが、経営難から2001(平成13)年に民事再生法を申請。2002(同14)年にオリックス不動産が取得し、2008年から直営している。総収容人数は本館、中館、Hana館で2914人。大展望露天風呂「棚湯」、屋外温泉「ザ・アクアガーデン」、大型バイキング「シーダパレス」、ボウリング場などを備える。客室の年間稼働率は99%。外国人の宿泊は約13%。