古式泳法「臼杵山内流」の寒中水泳大会が1月3日、臼杵市の鯉来(けいれい)ケ浜(臼杵市中津浦)で開かれた。4月に東京五輪の聖火を山内流でリレーする晴れ舞台を控え、有資格者が泳ぎながら意気込みを揮毫(きごう)するなどして、記念すべき年の門出を祝った。
臼杵山内流游泳(ゆうえい)クラブが安全祈願と初泳ぎを行う恒例行事。今年は同流派の指導資格を持つ「教師」ら約20人が参加。立ち泳ぎをしながら筆で文字を書く「水書」、大型の旗を海水に触れないように振る「旗振り」などを行った。
10時時点の気温は12度で水温は13度。同クラブの土谷桂山会長(79)が海にお神酒をまく神事を行った後、12人の「教師」が水上で「聖」「臼」などの文字をしたため、「2020年聖火を繋ぐ臼杵山内流」と書きそろえた。
「年」の文字を担当した武宮敏博さん(73)は「水は冷たかったがうまく書けた」と笑顔。土谷会長は「上々の出来。リレーの日を楽しみに待ちたい」と話した。「山内流」を代表する形で聖火リレーのランナーに内定している西水克己さん(64)は「体調を万全にして望みたい」と決意も新たにした。
2020年東京オリンピック聖火リレーが臼杵市を走るのは4月25日。スタートは臼杵津久見警察署前で、八町大路などを通り、臼杵市歴史資料館付近をゴールとする。全8区間、1.5キロのコースで最終区間は臼杵川を「山内流」で渡る特殊区間となっている。
「山内流」は1822年に四国松山の山内久馬勝重が臼杵藩士・稲川清記に伝授した水軍武術用の泳法。立ち泳ぎで弓を射たり、斜め横泳ぎでやりを持って旗を掲げたりする。日本泳法の13流派のうちの一つで、1966(昭和41)年に大分県の無形文化財に指定されている。