大分県出身で、元在モンゴル日本国特命全権大使の清水武則さん(67)の講演会が1月24日、宇佐市の大分県立歴史博物館(大分県宇佐市高森、TEL 0978-37-2100)であった。両国の懸け橋役として尽力した清水さんが外交官時代を振り返り、民主化への歴史などを紹介した。
大分県九重町出身。別府鶴見丘高、中央大法学部卒。外務省入省後、1977(昭和52)年にモンゴル国日本大使館勤務。退官までのモンゴル在勤は4回。2015(平成27)年に同国の最高章に当たる「労働功労赤旗勲章」を受章した。現在は千葉工業大、中央大商学部で教授職。
講演会は、同館で3月8日まで開かれている「カラコルム建都800年 モンゴル展」の一環。「モンゴルに捧(ささ)げた外交官生活40余年」と題し、写真を使ったスライドを交えて展開した。
大分モンゴル親善協会の結成や大分県知事の同国訪問など、1990年代から活発化した大分県とのつながりを説明。ノモンハン事件、独立といった歴史をたどり、社会主義国から民主国家へと変わった背景も解説した。1990年の民主化の際は「民衆デモの熱を肌で感じた」と振り返り、「独立と民族の自由を求めて変革の嵐の中にある。今こそ日本が先頭に立って支援すべき」と外務省に打電したエピソードも紹介した。
観光客数の指針となる入管統計も示し、「モンゴルへの訪問数は年間約2万人とまだまだ少ない」と言及。「日本の人に、あの素晴らしい大平原や遊牧文化を味わってもらえるよう宣伝していきたい」と意気込んでみせた。
宇佐市内外から約50人が来場した。宇佐市の60代主婦は「清水さんの話を聞いてモンゴルに行ってみたくなった」と笑顔で話した。同館学芸調査課の石川優生さんは「モンゴルで尽力し、愛された清水さんを大分の人に知ってもらえて良かった」と満足そうに話していた。