店内でボードゲームを楽しめるカフェ「Piece(ピース)」(別府市北浜1、TEL 080-5802-1088)が、別府市の中心街にオープンして1カ月がたった。コロナ禍の中での開店で集客に苦戦してきたが、店長の荻本直樹さん(34)は「最近は少しずつ利用が増えている。『ここに来れば誰かと会える』という場所になれば」と前向きだ。
荻本さんは佐伯市出身。内気な性格で幼少期から人と話すことが苦手だったが、接客業を通して人と話す楽しさに気付いた。別府市の「G's BAR」(同)でバーテンダーとして働き始めると、その思いはさらに強まった。3年前、店に用意したボードゲームで遊んだ際に、その場で仲間と分かち合える喜びと臨場感に感動。ボードゲームを通して人と関わることの楽しさを知ってもらおうと、バーのオーナーに専用カフェの開店を願い出た。
やよい商店街にあるビルの2階に4月4日、オープン。店内はゲームに集中できるよう白を基調としたシンプルなデザインとした。テーブルを6卓用意し、一度に20人は遊べるという。領地の獲得を目指すカードゲーム「DOMINION(ドミニオン)」(米国)、プレーヤーの考えを推理し合う「Dixit(ディクシット)」(フランス)など国内外110種類のゲームをそろえた。荻本さんはゲーム選びのアドバイスをしたり、1人客の対戦相手になったりする。
飲食はソフトドリンクのほか、元バーテンダーの腕を生かしてスクリュードライバーやジントニック(以上660円)といったアルコールも提供する。フードメニューは片手で食べられる「ベーコンエッグサンド」(550円)、辛味の効いた「ボロネーゼ風悪魔的トースト」(660円)など。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、テーブル間隔を空け、店内の換気やアルコール消毒に気を配りながら営業してきた。表立ったPRもできず集客に苦しんでいたが、「口コミなどもあり、少しずつ客足が増えてきた」という。5月14日の緊急事態宣言解除の報にはホッとした様子を見せ、「考えていたイベントも開きたい。店を紹介する動画も作りたい」と意気込みを語った。
コロナ終息までの道は不透明で苦しい状況が続くが、ボードゲームが持つ力を信じる荻本さんの表情は明るい。「ゲームをしていると笑顔になり、自然と楽しい気持ちになる。ゲームが好きな人はもちろん、寂しいと思っている人、人と会いたいと思っている人にも来てもらえれば」
営業時間は12時~24時。料金は平日=1人1時間550円~、金曜・土曜・祝日=同660円~