企業や団体の優れたメセナ(芸術・文化振興による豊かな社会創造)活動を顕彰する「メセナアワード 2020」が11月5日、発表され、大分市の鬼塚電気工事(尾野文俊社長、大分市津留六本松・TEL 097-569-3271)の「プロジェクトONICO」が優秀賞を受賞した。無料充電オブジェを商店街に設置するなど、アートと電気工事の力で地域の課題を解決する取り組みが評価を受けた。
同アワードは企業メセナ協議会(東京都港区)の一事業。企業のメセナ充実などを目的に1991(平成3)年に「メセナ大賞」として創設した。2004(平成16)年から「メセナアワード」に改称している。
30回目の今年は大賞1社、優秀賞5社・団体、特別賞1社を選出。「鬼塚電気工事」は「アートで街を充電しま賞」として優秀賞に選ばれた。大分県内の企業として受賞したのは、1994(平成6)年の三和酒類(企画賞)以来、2社目。大賞は鹿島美術財団。優秀賞はアンデルセン・パン生活文化研究所、ソニー音楽財団、原田、琉球新報社、特別賞は資生堂だった。
「プロジェクトONICO」は県の「クリエイティブ・プラットホーム構築事業」を活用し、電気工事の領域から地域の課題を解決する産学官連携の取り組み。音楽作家の清川進也さん、大分県立芸術文化短期大学と共同で2018(平成30)年から継続して展開している。ONICOは差し込みプラグを模した同社のオリジナルキャラクター。
2018年11月、大分市のガレリア竹町ドーム広場に災害時も利用できるスマホ用の充電ステーションを設置したほか、2020年2月には県と「災害時における電気設備等の応急対策に関する協定」を結んだ。今年9月からは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、同広場に手軽に体温測定ができる検温ステーションを設置している。
選考では「産学官の連携で新しい視点から確かな技術で、地域の課題に応えている」「本業で培ってきたノウハウを生かし、アートを起点に災害支援へと活動が発展している」などと評価された。
同社では「受賞の報に社内は喜びに沸いている。近年の取り組みが評価されたことでモチベーションも高まった。今後も社会問題や地域の課題解決を目指し、より充実した活動を継続していきたい」としている。
メセナアワード表彰式は11月20日、東京の浜松町コンベンションホールで行われる。