臼杵の観光関係者や有志、市でつくる「くらたび臼杵」は現在、まちの魅力をオンラインで紹介する取り組みに注力している。試験的に実施した「農泊体験」などで手応えをつかみ、来年1月の「線香作り体験」から本格始動する。
「くらたび臼杵」は2019年9月に設立。「ずっと暮らしたい町へ」をビジョンに掲げ、インバウンド(訪日外国人客)推進や観光客を対象とした体験プログラムの作成などを手掛けている。
オンライン体験は、長引く新型コロナウイルスの影響で観光客が激減する中、コロナ後の誘客を見据えて企画。臼杵の暮らしや文化をビデオ会議システム「zoom」を通して伝える取り組みで、7月以降、農泊、金継ぎなどを行い定期開催のプランを練ってきた。
線香作りは、事前に材料キットを郵送し、画面越しに作り方を指導するイベントで、会長の平林真一さん(42)が講師を務める。本番に先駆けて12月17日にプレ体験会を開き、全体の流れなどを確認した。
体験会は平林さんが営む仏具店「山本鳳凰堂(ほうおうどう)」(臼杵市臼杵342、TEL 0972-63-4187)で開催。オンラインで福岡県、宮崎県、由布市から3人が参加したほか、愛媛県内子町から視察に訪れた一行7人が、臼杵市観光交流プラザ会場と同店の「オフライン」会場で線香作りに挑戦した。
平林さんは店舗の一角に備えた「中継場」から配信。クイズや線香の魅力などを紹介する軽妙なトークで場を和ませ、双方向のやりとりを交えながら指導した。
参加者は作り方の説明を受けると、原料と水を合わせて好きな形に練り固める作業に没頭。出来上がった「線香のもと」を丸めて伸ばし、ネコや飛行機などの形に切り抜いた。線香は1日乾燥させてから使用可能で「香りが楽しみ」「また作りたい」などと感想を述べ合った。
本開催となる1月28日は20時スタート。参加費は3,000円で事前予約が必要。「コロナ禍で移動が難しくなっている。大切な人、会えない人を思い、時や場所を超えて香りを供えてもらえれば」と平林さん。
藤沼美和事務局長(46)は「平林さんのファンになる人もいれば、地域を超えた参加者同士で仲良くなる人たちもいる。そういった新しく生まれたつながりをきっかけに、臼杵に思いを寄せてもらえれば」と話す。
「くらたび臼杵」は、1月19日に行う城下町の醸造文化を訪ね歩くオンラインツアーの無料モニターも募集している。