別府市の鉄輪地区に3月1日、学生ら若い男性向けシェアハウス「湯治ぐらし3」(別府市火売)がオープンする。入居の条件は「湯治をライフスタイルに取り入れ、その魅力を発信できる温泉男子」としており、運営・管理する菅野静さん(42)は「自分の体と心を見つめ直す一つのタイミングとして活用してほしい」と呼び掛けている。
菅野さんは大阪出身。湯治用の宿「貸間」や温泉の蒸気で食材を調理する「蒸し釜(地獄蒸し)」といった文化が残る鉄輪温泉の魅力に引かれ、2019年3月に移住した。2020年2月、女子学生らを「湯治女子」として受け入れるシェアハウス「湯治ぐらし1」の運営を開始。女子学生らの力を借り、SNSで温泉生活の様子を発信したり、イベントを通して地域との交流を深めたりして、湯治文化を広める活動を展開してきた。この2月には女子用2棟目となる「湯治ぐらし2」をオープンさせた。
「湯治ぐらし3」は、男子学生からの「自分たちも湯治を取り入れた生活をしたい」という声に応えてオープンする。
物件は別府市役所朝日出張所の近くにある2棟(共に2階建て)で、定員は9人。部屋の広さは約7~23平方メートル。敷金や礼金などは不要で部屋の広さに応じて3万5,000円から利用できる(共益費7,000円別)。風呂は自家源泉を利用した掛け流し温泉で、「地域交流の場ともなる」という広い庭が特徴。
2月18日現在、立命館アジア太平洋大(APU)や別府大学の学生、社会人ら6人の入居が決まっているという。出身も東京、京都、長崎などとバラバラ。市内の学生寮から引っ越す予定という佐賀出身の円城寺健悠さん(別府大2年)は「いろいろな人と近い距離で湯治生活するのが楽しみ」と期待する。
「女子学生の中には共同湯治生活を通して、食べ物や洗顔料などを選ぶ基準や生活習慣がガラリと変わった子もいる」と菅野さん。「いらないものを脱ぎ捨てて温泉に漬かり、放電し、一度立ち止まることで真の自分と向き合うことができる。湯治暮らしは学生や若い社会人にマッチしていると思う」と話す。
入居相談はフェイスブックページなどから。「湯治ぐらし1」も1人分の空きがある。