第101回全国高校ラグビーフットボール大会大分県予選(県高体連など主催)の決勝戦が11月7日、大分市営陸上競技場で行われ、大分舞鶴と大分東明が14-14で引き分け、両校優勝となった。抽選の結果、大分舞鶴が3年ぶり58回目の花園出場を決めた。
舞鶴は前半22分、ラインアウトモールからフッカーの川野倫太郎(3年)がゴール左に飛び込んで先制。スタンドオフの川上隆輔(同)もゴールを決め、前半を7-0で折り返した。後半15分にもモールで左サイドに押し込み、フランカーの島正輝主将(同)のトライで加点。ゴールも決めて14-0と突き放した。東明は後半18分、ナンバー8のダウナカマカマ・カイサ(2年)のパントキックからボールをつかんだウイングのナブラギ・エロニ(同)が左隅にトライ。右センターの日隈太陽(3年)がゴールを決めて7点差とした。同20分にもパントキックから日隈がトライとゴールを決め、試合を振り出しに戻した。その後舞鶴はFW戦に持ち込み東明ゴール前で猛攻を繰り返したが、東明が堅守でしのぎ切った。県予選決勝で両校優勝は初めて。
押す舞鶴、一撃を決める東明。6年連続で同じ顔合わせとなった決勝戦は復権と3連覇とを掛けたがっぷり四つの展開となった。
両チームともトライだけを目指した。反則を得てペナルティゴールを狙うシーンは試合を通して一度もなかった。相手バックスの足を止めるディフェンス力も互角。舞鶴はモールでボールを動かさず東明ラインと正対するなど、互いの呼吸や力量を確かめ合う時間もあった。
舞鶴は14点あったリードを一気に無くしたが、丁寧なプレーをつなげて再び自分たちの流れに持ち込んだ。杉本圭監督は「モールから取った2本(トライ)には手応えがあった。同じ形を作れればいけると思っていたはず」と振り返った。
残り10分は東明ゴール前に張り付き、スクラムとモールで押し続けた。3分を切ったところで得た反則もタッチに蹴り出しマイボールラインアウトを選んだが、最後の一押しを決めきれずにノーサイド。島主将は「トライを取り切りたかった。勝ちたかった」と悔しがった。杉本監督は「ペナルティゴールを決めて残り2分半を守り切るプランもあったと思うが、あの選択があの子たちのプライド」と目を細めた。
抽選では「残った方を引いた」という島主将。「東明の気持ちを考えると喜んでいいのか分からなかった」としたが、花園切符の報にロッカールームは大きく揺れた。
東明の馬越涼主将(3年)はチームメイトに囲まれて号泣。「抽選にはプレッシャーがあった。何も書いてなかった。悔しかった」とした上で「勝ち切る力がなかった。舞鶴には自分たちの分まで頑張ってほしい」と上を向いた。
舞鶴は2018(平成30)年まで33年連続で優勝していたが、2年前に東明に止められた。2強となったここ4年の試合内容はほぼ互角。「大分の決勝戦は全国レベル。こうした試合を戦えて、また課題もはっきりしたことは本当に大きい」と杉本監督。12月27日から始まる全国大会に向けては「このチームは修正力が高い。1週間、2週間でも変われるし、2カ月あればさらに成長できる」とする。
3年ぶりの舞台に島主将は「自分たちの代は初めて。新しい舞鶴のスタートラインになる」と表情を引き締める。「最後のトライを取りきれなかった課題は練習で克服する。東明の分まで頑張り、ベスト8を目指したい」と聖地での活躍を誓う。
県予選の実施要項では、試合時間中に勝敗が決まらない場合は引き分け。次の試合に進むチームは「トライ数が多い」「ペナルティトライが多い」「トライ後のゴールが多い」の順で決め、いずれでも決定しない場合は「抽選」としている。