大分市の大分城址公園(大分市荷揚町4)の大手門入り口近くにあったクロマツの移植工事が、2月12日から13日にかけて行われた。
公園脇の歩道にある松並木10本のうち、幹が大きく傾き歩行者らの通行に支障があった1本を約160メートル先の公園東側広場に移し変える工事で、県が2018(平成30)年1月に着手。せん定、仮支柱設置、根の養生、舗装や石垣の一時撤去などに約4年を当てて進めてきた。
工事に伴い、国道197号の県庁前付近で別府方面への1車線を残し、12日21時から13日7時まで交通を規制。運搬時の妨げとなる高城方向への車線にある信号機を外し、大型クレーン車や運搬用のトレーラーなどを使い、11時ごろから本格的な作業を開始した。
根と幹の2カ所の保護部分にワイヤーロープを回し、大型クレーンの2つのフックに繋いだ。もう1台のクレーン車でクロマツを固定していた重石を取り除いてから、時間をかけて引き上げ、トレーラーの荷台に移し載せた。クロマツは2時までに東側広場に移され、「木下郁・上田保先生像」の横に立たすように仮設置された。
途中から雨が降り出したが、国道脇では県民らが「深夜の移植大作戦」を見守った。日付が変わる頃にクロマツがゆっくりと引き上げられると「動いた」「上がった」といった声が。大分市の40代男性は「通行時に頭をぶつけたこともあり邪魔だなと思っていたが、樹齢100年とも聞いているしやはり愛着はある。伐採されなくて良かった」。
一夜明けてクロマツは「新天地」で雄大な姿を披露。ウオーキングで通りかかった50代女性は「こんなに大きいとは思わなかった。このまま堂々と根付いてほしい」と話す。