一般社団法人まるっと終活大分支援協会(大分市勢家町2、TEL 0120-468-374)が1月から大分市で、死について気軽に話し合う「デスカフェ」を開いている。終末期の希望や願いが記されたカードを選ぶ「もしバナゲーム」を取り入れたワークショップを行い、「自分の死生観を考えるきっかけになれば」としている。
同協会によると、デスカフェは1999年に、妻を亡くしたスイスの社会学者が考案。年齢や性別を問わず、死と向かい合っている人、死に関心がある人が「死についてカジュアルに語る場」とする。日本では都心部を中心にさまざまな形で開催されているという。
「もしバナゲーム」は亀田総合病院(千葉県鴨川市)の医師が米国発のカードゲームを参考に、終末期を迎えた患者用に開発したレクリエーション。患者目線で「大切なこと」などを書いた36枚を選ぶことで、自分の死生観と向き合えるという。
大分では同協会が毎月1回、コミュニティーカフェ「大きな樹」(大分市敷戸西町)で定期開催。「もしバナマイスター」の資格を持つ豊後大野市の看護師・桐島照美さんを招き、ワークショップスタイルで実施している。1月25日の初開催に8人、2月24日の2回目は6人が参加した。
初回のカードゲームでは、自分の余命が残り半年という設定で実施。4人が1組となり、それぞれが配られたカードを複数回交換するなどして気に入ったカードを5枚選んだ。
40代女性は5枚の中に「尊厳が保たれる」「意識がはっきりしている」「私が望む形で治療やケアをしてもらえる」の3枚を入れた。「最後まで自分らしくありたいと思って選んだ」と話す。
別の40代女性は「最後まで笑っていたいから」と「ユーモアを持ち続ける」のカードも選出。50代女性は「知人が遺産相続のトラブルで大変な思いをしていたので、自分はきれいにしておきたい」と「お金の問題を整理しておく」のカードを手元に残した。
50代男性は「生前にこういったカードを選べるのは幸せなことだと感じた」と話した。
桐島さんは「参加者同士で話すうちにさまざまな気付きを得ることができるし、その時の立場や状況によって選ぶカードは変わる」と説明。「そうした『揺らぎ』も含めたそれぞれの思いを周囲で共有してほしい。『もしも』の時の双方の心の支えになると思う」と話した。
同協会の木原寛代表理事は「人生は1度きり。残された時間に何をするか、自分の去った後をどうしたいかといった死生観を考えて、きょうという日を輝かせてほしい」と呼び掛ける。
第3回は3月24日13時から。定員は8人で先着順。専用サイトから申し込む。参加費は500円(ほか飲料費)。