大分市歴史資料館(大分市大字国分、TEL 097-549-0880)で現在、「中世豊後府内の職人たち」が開かれている。
同市の中世大友府内町跡から出土した遺物を通じて、当時の生活や活気に満ちた職人の様子を紹介する同展。室町時代の京都の職人の姿や、「画中詞(がちゅうことば)」と呼ばれる会話や口上などを描く「七十一番職人歌合」と遺品を合わせて展示している。歌合わせのテーマは「恋と月」で、同館の河野史郎参事補は「口上を読むと当時の『しゃれ』も入っていて楽しい」と話す。
展示品は、茶釜や薬を作るために使われた薬研(やげん)、国内3例目という、形を保ったまま発見されたかぶとなど初公開3点を合わせた計83点を展示している。「中世で言う『職人』は大工などの手工業者だけでなくさまざまな職業を指す。今で言う、芸能人やスポーツ選手なども含まれていて、中世のあたりまえの生活を出土品と歌合わせで楽しく紹介している」と河野さん。
展示は3テーマで構成し、第一章は、、「都市と職人」をテーマに同歌合わせの142種の職人になりすまして競い合った、姿絵や画中詞を紹介。第二章は、「出土遺物からみた中世豊後府内の職人」で出土品と歌合わせを見ながら活動を考証し紹介している。第三章は、大友氏の年中行事を書いた「当家年中作法日記にみる職人」として土器に直接触れるコーナーなども用意する。
発掘調査にも携わった経験があると言う河野さんは「遺物だけの展示だけではなく、作った人や使った人の顔が見える展示にこだわった。道具の解説と合わせても楽しんでもらえるはず」と自信を見せる。「歌合わせで中世の職人の行動や言葉を見て楽しんでもらえれば」と来場を呼び掛ける。
観覧料は一般=200円、高校生=100円、中学生以下は無料。月曜日は休館日。2月14日(14時~)は展示解説講座を予定している。受講無料(講座参加者は観覧無料)。4月3日まで。