別府市は4月25日、熊本・大分地震で観光客が激減した際に支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えようとPR動画「別府温泉の恩返し」を公開した。
地震直後から別府市旅館ホテル組合連合会加盟112軒中111軒が営業していたにもかかわらず、8日間で推定11万人の宿泊キャンセルが発生。被害総額は13.7億円に上り、毎年にぎわうゴールデンウィークにも観光客は戻らず、宿泊者数は前年比33%減となった。
そうした状況から回復した同市が「ありがとうをカタチに事業」として手掛けた同PR動画。地震発生から1年を迎えた4月14日~16日の3日間で撮影した。市内の旅館・ホテル関係者や飲食店員など市民約110人が出演。「一人一人ができる恩返し」と銘打ち、女子高生・猫・別府市長など12パターンを約4分間で伝えている。
同事業の一環として「温泉宅配」も行う。市のホームページで必要事項や別府への思いなどを記入して応募すると、市が選考した対象者に45~73度の単純泉が4トンまたは7トンの保温タンクに積まれ、専用トラックで届けられる。
長野恭紘市長は「この1年間、全国の皆さんから物心両面のご支援をいただいて観光復興できたことは本当に奇跡で、いくら感謝してもしきれない。その感謝を、私たちの一番の宝である『アツアツの温泉』を運ぶという行動で示したいという気持ちから、本事業をスタートした。PRムービーは、別府市民総出演で感謝を伝えたいという、ただその一点で制作している。全国の皆さんに気持ちが届くとうれしい」と話す。
総事業費は2,100万円で、動画作成に700万円、温泉輸送などに1,400万円。現在、温泉宅配の希望者を募集している。来年1月31日までを予定。第1便は5月中に走らせる計画。