大分市の七瀬川上流で整備している大分川ダム(大分市下原)が春本番を迎え、ダムならではの迫力とヤマザクラも楽しめる手軽な観光スポットになっている。
大分川水系の七瀬川において洪水調節、大分市の水道用水供給などを目的とする同ダム。岩石や土を積み上げて造成する「ロックフィルダム」で、高さ91.6メートル、総貯水容量は約2400万立方メートル。1987(昭和62)年に事業着手、2017年5月にダム本体の盛り立てが完了し、2018年2月からダムに水をためる試験湛水(たんすい)に入っている。2019年度末の完成予定。総事業費は約995億円。
ダムの周囲には第1、第2展望所があり、それぞれにダム工事の概要や完成イメージなどのパネルを設置している。付替国道442号沿いの第1展望所からは、連なる山並み、左手にダム本体と水位が上がったときに自然と水が流れ出す洪水吐(ばき)、眼下に取水設備、右手にまんじゅう大橋と、動きのあるパノラマ景色を楽しめる。まんじゅう大橋を渡った先にある第2展望所では、ダムを正面から見ることができ、たまった水も一望できる。同展望所には実際の水位を確認できる透明のパネルがあり、ダム全体の大きさも確認できる。
湛水開始から約2カ月が過ぎ、全体量はまだまだ少ないが、水をたたえたダムならではの姿に変わりつつある。山々のヤマザクラもピンク色に咲き誇るシーズンを迎え、市民や観光客などが立ち寄っては人工物と自然の「期間限定」の共演を楽しんでいる。
4月3日も好天に恵まれ、展望所は午前中から立ち寄る人でにぎわった。駐車場には熊本や山口といった他県ナンバーの車もあり、山口県から訪れた50代の夫婦は「水をためている途中のダムが見たかった。山を彩るヤマザクラもきれいで得した気分」と景観を写真に収めていた。
今後、約1年かけて貯水と放水を行い、漏水や堤体の安全性を確かめる。完成に合わせて大分市が「道の駅のつはる」(仮称)、「のつはる天空広場」(仮称)を整備する。