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別府市の老舗レコード店「エトウ南海堂」移転へ 新天地は大分市の中心街

「エトウ南海堂」の江藤二郎さん(右)と慎悟さん

「エトウ南海堂」の江藤二郎さん(右)と慎悟さん

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 別府市の老舗レコード・CD店「エトウ南海堂」(別府市駅前本町1、TEL 0977-22-0827)が大分市の中央町に移転する。別府での約90年の歴史にピリオドを打ち、新天地で再スタートを切る。

別府での営業を終える「エトウ南海堂」

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 初代の江藤茂さんが佐伯市で開業。別府と大分に店を分ける形で移転した。別府店は英一さんに引き継がれ、現在は3代目の二郎さん(64)と長男の慎悟さん(32)が経営している。正確な開業年は伝わっていないが「大正15(1926)年撮影の写真にレコードが写っている」「店とレコードについて書かれた昭和7(1932)年の資料がある」ことなどから創業およそ90年としている。

 JR別府駅前の商店街にある小さな店は、歌謡曲、演歌、ニューミュージックにアイドルソングなどのレコードやCDを並べ「別府の音楽屋」として長く市民に愛されてきた。数々の有名歌手との交流も生まれ、入り口のガラス製の扉にはMr.Childrenの桜井和寿さんやAKB48時代の指原莉乃さんらのサインが残る。二郎さんは「昔は新譜発売やチケット販売開始のたびに店前に行列ができた。みんながレコードを求めていた時代で、寺尾聰さんの『ルビーの指環』を収録したアルバム(1981年4月リリース)は文字通り、飛ぶように売れた」と振り返る。

 近年では人通りも少なくなり、楽曲もダウンロード配信を主流とする時代へと変わった。店の売り上げもピークの3分の1までに減り、2人で店の経営を模索した。そうした中、大分市の旧ミュージックエトウ跡地(大分市中央町2)が空くという報が届く。二郎さんは情報を集め、リサーチを繰り返し「人やモノに動きのある大分での可能性に懸けることにした」。生活とのれんを守るための移転だが「小学校に通って、銭湯に行ってという時代や店の歴史を考えると去るのは本当に切ないし寂しい」と言う。

 新店舗は約33平方メートル。現在店で扱っているCDや中古レコード約8000点を約1万点に増やし、これまでの方向性を守りながらジャズやクラシックの分野にも力を入れていく。店には約51平方メートルのイベントスペースも併設。貸しスペースとして活用するほか、新人歌手の発表会などの主催イベントも見据えている。

 慎悟さんは「ミュージックエトウさんとは母体が違うので、初めての大分進出となる。今は寂しさ、悔しさ、不安、楽しみ、喜びとさまざまな気持ちが入り交じっているが、お客さんに移転を切り出すと、みんな分かってくれるし大分まで来てくれると言うので心強い」と話す。

 「日本人にはレコードやCDのパッケージまで含めて一つの芸術と捉える目がある。在庫商売は苦しいが、そういったところも魅力の一つ。やめられない」と二郎さん。新店舗運営の柱となる慎悟さんは「別府と大分では歴史や文化、考え方も違うと思う。大分の人の好みをいち早くキャッチしたい。新しいイベントスペースもあるので、売るだけでなく、企画して運営する部分でも頑張りたい」と意気込んでいる。

 別府店は8月15日まで営業。大分店は8月20日をプレオープンとし、翌21日から一般向けの営業を開始する。営業時間は10時~19時を予定。

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