大分市は9月1日、旧パルコ跡地(大分市府内町1)に整備する祝祭広場の市民説明会をJ:COMホルトホール3階大会議室(大分市金池南1)で開いた。橋形クレーンから大型屋根へと目玉案を変更した経緯などについて報告。市民からは反対意見はなく、討論会を通して参加者と最終案を「共有」する形となった。
会には142人が参加。佐藤樹一郎市長が「市民の財産となる広場にするため、理解と支援をいただきたい」とあいさつ。市都市計画部まちなみ企画課がこれまでの経過説明を行った後、広場をデザインしたヨコミゾマコトさんが最終案の概要をスライド上映を交えて解説した。
パネルディスカッションには総合アドバイザーを務める世界的建築家の磯崎新さんも参加。大分大理工学部助教の姫野由香さんがコーディネーターを務めた。
磯崎さんは「市民の意見を聞きながら具現化していくのは素晴らしい。筋書きとして全て良い方向に向かっている」、佐藤市長は「大屋根が動くという案は世界に類を見ない。いろいろなものを発信できる広場になっていくのでは」と述べた。ヨコミゾさんはクレーン取りやめについて費用や法律面を考慮した上で「7月の頭ぐらいに難しいと判断した」とし、「地面の価値を変えるという考えを変えず、建築基準法下で造れる建築物にしようと決めた」と説明した。
参加者からは「歩行者天国との連動を」「音響施設の専門家の話を聞くべき」「花壇などで緑を増やしてほしい」などの意見が出されたほか、礒崎さんからも「市民に長く愛されるために広場の愛称やニックネームを作っては」との声も上がった。
市内の50代男性は「大型屋根はクレーンよりも安心感がある。人の流れが変わりそう」、30代女性は「あとはきちんと工期を守って完成させてほしい」と話した。薬師寺菜加(なのか)さん(大分舞鶴高3年)は「環境設計に興味があったので参加した。具体的な広場のビジョンが見えて楽しみが広がった」と期待していた。
最終案には設計コンセプトの可変性や柔軟性を念頭に、6月23日の市民意見交換会や市議会などで上げられた意見を反映。移動可能施設として、大小2つの大型屋根、管理事務所やカフェなどに活用できる特設ラボ2棟、ベンチを備えた植栽コンテナなどを取り入れた。
大型屋根は広場の南側に設置。幅18~21メートル・長さ20~21メートル・高さ12~14メートルで、76.7メートルのレール上を東西に移動する。小型屋根は大型屋根の下に入れ込むことができる。日よけ用に遮光性のあるガラスを屋根と南側の側面に取り付ける。特設ラボは幅2.4メートル・長さ12メートル・高さ2.8メートルのコンテナ型施設でギャラリーやミーティングルームとしても利用できる。
このほか固定施設として、広場北西側に幅19メートル・高さ12メートルの緑化ウォール、北側に94平方メートルのトイレ、幅9メートル・奥行き5.4メートルのステージなどを備える。
今後は各施設の詳細を詰めた上で年内に工事を発注する予定。完成は2019年7月の見込み。整備費は5億円。