別府市内成の棚田を彩るヒガンバナが現在、見頃を迎えている。こうべを垂れる稲穂と青空を背景に、凛(りん)とした真っ赤な花姿を揺らせている。
内成地区の棚田は、別府市南部にある山間部の傾斜に広がる。代々受け継がれてきた約1300枚の水田は景観的にも歴史的にも価値があり、1999年に「日本の棚田百選」に選定された。
ヒガンバナは、モグラよけなどとされ、古くから国内各地の田畑などに植えられてきた。内成でもあぜ道や棚田の境の所々に植えられており、毎年この時期になると、独特な姿の花を咲かせる。秋は水田風景が美しい初夏と共に人気のある季節で、週末ともなれば景色を楽しむ観光客やカメラマンらの姿でにぎわう。
太郎丸集落にはヒガンバナに囲まれた稲刈り前の棚田が広がる。農作業に当たっていた男性は「8月末に収穫したところもあるが、大分産ヒノヒカリはこれから。10月にかけて刈っていく」とタオルで額の汗を拭う。
バス停「太郎丸」脇には無人の野菜直売所も。ナス、ピーマン、トマトなどの夏野菜の横にクリも並ぶ。1袋100円。
バス停付近のコスモスもほころび始め秋も本格化。農家の女性は「ヒガンバナという名の通り。咲き始めるとそろそろお彼岸なんだなあと、思い直す」と笑顔を見せる。