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大分県由布市の宮川で清流化進む 次世代に向け、共同チームが外来水草除去

オオセキショウモの除去作業

オオセキショウモの除去作業

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 由布市を流れる大分川水系の宮川で清流化が進んでいる。11月25・26日には繁殖した外来水草などを取り除く作業を行うなど、地域団体、県、市などの共同体が豊かな自然を次世代に引き継ぐ地道な活動を続けている。 

潜水して外来種を抜き取る参加者(川中左にあるのがオオセキショウモ)

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 湯布院経済同友会、大分川漁業協同組合、由布院温泉旅館組合など12の団体・個人で構成する「豊かな水環境創出ゆふいん会議」(=ゆふいん豊水会、事務局・人材育成ゆふいん財団・TEL 0977-85-4748)が大分県、由布市と共同で2015年から取り組んでいる。

 同会によると、JR由布院駅の西側を流れる宮川に、30年ほど前から東南アジアの水草オオセキショウモが生え始め、1キロにわたる流域全体を覆うようになった。水の流れが滞ることで水位が上昇。冠水の不安が生まれ、農業用水としての活用にも苦慮するようになった。県のレッドデータブックに記載されている在来種ササバモの繁殖域も侵食したという。

 長年にわたって農家だけで刈り取りを繰り返していたが「手に負えなくなった」ことから、元の川に戻すために共同チームを結成。毎年、農期を外した11月から半年の間に6日ほどの作業日を設けて実施している。

 ウエットスーツを着た参加者が放水用のホースで川底に張り付いた根株を吹き飛ばして「根こそぎ」取り除く。くわを使った手作業での抜き取りも行う。再繁殖した株も1つずつ同様に抜いていく。ゆふいん豊水会事務局の富山雄太さん(35)は九州大のテクニカルスタッフとして川の再生や水生生物などを研究してきた。「作業は学術的知見に基づき、根絶を念頭に置いて進めている」

 3年に及ぶ取り組みで上流から340メートルの範囲にわたって清流化に成功。水がよどみなく流れるようになった。ゴミさらいも行ったことで30年ぶりに川底が見えるようになった。在来種のササバモの姿も復活した。

 11月25日・26日の作業には会員のほか県や市の職員ら31人が参加。両日とも約2時間の作業で清流域を下流方面に20メートル延ばした。富山さんは「防災、農家支援、生態系の復活のほかにも、先の話になるが、ウナギのほか川魚などが姿を見せるようになれば漁協などへの経済効果も見込める。地道で時間がかかる作業だが丁寧に積み重ねていくことが何よりも重要。清流化を柱とした1つのモデルケースになれば」と話す。

 ゆふいん豊水会によると再生が進み、清流域が広がったことで川を楽しみに歩く人が増えたという。「『人け』が多くなることはとても重要。木のベンチなども整備して、由布岳をバックに人が集える場所にしていきたい」と意気込む。

 本年度の次の作業は3月末を予定。誰でも参加可能で見学もできる。同会では「子どもに、孫に、豊かな自然を残していきたい。ぜひ参加してほしい」と呼び掛けている。

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