米国出身のエーバーグ・ダレンさん(50)が2月1日、クラフトビール専門店「Monkey Mountain(モンキーマウンテン)」(大分市府内町2)をオープンした。自身で培養する酵母や地元の水で仕込んだ「大分発」のビールを瓶詰めにして販売している。
ダレンさんはクラフトビール造りが盛んなオレゴン州で育った。20歳を過ぎてさまざまな醸造所を訪れて風味の異なる一杯を楽しむうちに、「いつかは自分の店を持ちたい」と思うようになり、趣味で醸造の世界に足を踏み入れた。その後約20年にわたってオリジナルビールづくりを楽しんだという。
39歳の時に妻の故郷の日本に渡り、半導体関連のエンジニアとして大分に移り住んだ。大分への愛着が強まる中で店を構える夢を膨らませ、2017年に知人の力を借りて開店準備に取り掛かった。「関連する日本の法律の理解、販路と店舗の確保などは大変だった」とダレンさん。足掛け2年。クラフトビールとの出合いから30年がたっていた。
ダレンさんは鍋に温度計を取り付ける作業やコントローラーの配線なども自らこなす。多才なスキルを基に、自身で3種類の酵母を培養し、ビールごとに使い分けている。「酵母を培養している醸造所は少ないと思う。ここでしか飲めないビールを造ることができる」
仕込みに使う水については「大分の山々が育んだ水はオレゴンの水質と似ている。クラフトビールに合っている」という。このほか麦芽の品質を厳しくチェックするほか、ホップは鮮度にこだわる。
醸造所を含めた店舗面積は約50平方メートル。飲用スペースは設けていないが、その場で「角打ち」スタイルで味わうことができる。販売するビールは4種類(各330ミリリットル)。「ブロンドエール」(637円)はアルコール分(ABV)約4.5%でホップの風味を楽しめるように仕上げた。「ペールエール」(745円)はABV約6%。「レッドエール」(637円)はABV約5%で、軽い口当たりが特徴という。
一番人気はABV約12%の「バーレーワイン」(810円)。アルコール度数はワインと同等で色と味が濃いのが特徴。一般的に熟成期間が数カ月かかるためバーレーワインを扱う醸造所は少ないというが、ダレンさんは研究を重ねて3週間で仕上げる技術を培った。
店名は大分への愛を込め、高崎山自然動物園のサルと県内に連なる多様な山々から名付けた。一般販売のほか県内外の飲食店で取り扱ってもらうときに大分のアピールになることを狙う。「自分のクラフトビールが大分活性化のツールとして使われるとうれしい」とダレンさん。
メニューは今後随時増やしていく予定で、イチゴ、スイカ、ユズなどの県産フルーツを使った種類も開発するという。ダレンさんは「もっと味わいを深くしてほしい、爽やかな風味を楽しみたいなど、飲んだ人の感想を聞きたい。そういった意見をすぐに生かして改良を続けて行きたい」と目を輝かせる。
営業時間は14時~22時(金曜・土曜は23時まで)。水曜定休。