大分市のものづくり職人仲間が、オリジナル手拭いの売り上げを西大分にある火王宮(ひのうぐう、大分市浜の市)の石畳敷設費用に当てる取り組みを続けている。しゃれたデザインが受けて5月の販売開始からすでに半分以上が売れたという。仕掛け人の「若手」グループは「祭られているのは『導きの神様』。寄付や企画に何かの縁を感じてもらえればうれしい」と話している。
境内には柞原八幡宮(ゆすはらはちまんぐう)の仮宮などがあり、毎年9月の仲秋祭「浜の市」には大勢の市民らでにぎわう。地面には砂利が敷かれているだけで、目に見える形の参道はない。掃除などの日常の管理や祭りの開催などを担う総代の間では以前からバリアフリー化につながる石畳構想があったという。
石畳は西大分商店街の組合費を活用し、東西2つの鳥居と火王宮の拝殿を「Y」の字でつなげる形で敷く予定。費用は200万~250万円を見込んでいる。
手拭い作りは、浜の市地区でアクセサリーなどの体験工房「マリーヤン」を構える木本涼介さん(37)ら、総代の中の「若手」が今春に企画。これまで組合が作って配布していた手拭いを新たなデザインに作り変えて1枚1,000円の「商品」として販売し、売り上げを敷設費用の一部に当てる。制作数は1000枚で、売り上げ100万円を全額寄付する形を取る。
デザインは銀や皮製品のオーダーメードショップ「ディアストック」を営む鈴木秀一さん(40)が担当した。白と黒のモノトーンで横100センチ、縦35センチ。火王を「FIRE KING」、浜の市を「BEACH MARKET」などと英語で表し、発祥や改称の歴史をたどる西暦年の「837」「1871」「1957」をアクセントに使った。アメリカの年代物の古着などについているタグ(ユニオンチケット)を参照して仕上げたという。
5月から販売開始。口コミやSNSツールなどを通して購入を呼び掛けたところ、県外からの注文もあり、中には30枚の「大人買い」をしてくれた人もいるという。木本さんは「お宮の手拭いには見えない、普段使いできるデザインが良かったと思う」と手応えを感じ取る。
取り組みの一端に地域活性の願いも込める。2人は「秋の祭りで手拭いを頭に巻いたり、首にかけたりした人たちと会いたい。みんなで盛り上がっていければ」と期待を寄せている。
マリーヤン(TEL 097-538-8313)、ディアストック(TEL 097-507-2066)などで販売中。