大分市の七瀬川上流に建設されている大分川ダム(大分市下原)で11月24日、ダム本体完成に伴う記念式典が行われ、関係者や地域住民ら約320人が新ダムの門出を祝った。
洪水調節、河川環境の保全、水道用水の供給を目的に、1970(昭和45)年の予備調査以来、約50年をかけて整備を進めてきた。岩石や土を積み上げて造成する「ロックフィルダム」で、高さ91.6メートル、堤頂部の長さ496メートル、総貯水容量は約2400万立方メートル。総事業費は1,036億円。周囲の林道整備などの関連工事は本年度内に終え、来年4月に「ななせダム」として供用を開始する。
大分川ダム工事事務所によると、2018(平成30)年2月からダムに水をためる「試験湛水(たんすい)」を始めており、既に、大雨時に洪水を調節する機能は発揮できる状態にあるという。昨年9月と今年10月の台風接近の際は、下流の河川水位を低減させる効果があったとしている。
式典では国土交通省水管理・国土保全局の五道仁実局長が「このダムの完成が下流域の洪水被害の防止に大きく貢献すると考えている」とあいさつ。広瀬勝貞大分県知事が「治水や利水の面で安心できるほか、観光資源にもなる」と祝辞を述べた。ダム湖に沈んだ地に思いをはせて花をささげる「故郷献花」では全員で黙とうを行い、来賓や地域の小学生らがくす玉を割って完成を祝った。